メチレンジオキシメタンフェタミン
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| メチレンジオキシメタンフェタミン | |
|---|---|
| IUPAC名 | (RS)-1-(benzo[d][1,3]dioxol-5-yl)-N-methylpropan-2-amine |
| 別名 | MDMA、エクスタシー |
| 分子式 | C11H15NO2 |
| 分子量 | 193.25 |
| CAS登録番号 | [69610-10-2] |
| 形状 | 常温では白色の結晶または粉末 |
| 融点 | 148-153 °C塩酸塩での値 |
3,4-メチレンジオキシメタンフェタミン (3,4-methylenedioxymethamphetamine) は、合成麻薬の一種。略称として MDMA、他に エクスタシー(EcstasyまたはXTC)という通称を持つ。なおエクスタシーは、錠剤型麻薬の通称としても使われる。心理学者のラルフ・メッツナー(W:Ralph Metzner)がMDMAに対してエンパソーゲン(empathogen、共感をもたらす)という言葉を作った[1]。 またエンタクトゲン(entactogen、内面のつながりをもたらす)と呼ばれ分類されている[2]。
類似の薬物として MDA(3,4-メチレンジオキシアンフェタミン)、MDEA(3,4-メチレンジオキシ-N-エチルアンフェタミン)なども知られ、MDMA と同様にエンパソーゲンないしエンタクトゲンへ分類される。
本文では両者の混同を避けるため、「MDMA」と「錠剤型麻薬」に分けて表記する。
目次 |
化学的性質
常温では白色の結晶または粉末。分子構造はメタンフェタミンに類似し、メタンフェタミンのフェニル基の一部を置換したものと同一である。このためMDMAもメタンフェタミンと同じく光学異性体を持つ。
MDMAはその分子構造からしばしば覚醒剤に分類されるが、他の覚醒剤とされる薬物とは主だった作用機序が異なる。また、特有の精神作用により幻覚剤にも分類されるが、この「幻覚」は多幸感や他者との共有感などといった幻覚体験を指すもので、主作用として幻視や幻聴(一般に言う幻覚)を伴うことは稀である。
生理的作用
MDMAは脳内のセロトニン等を過剰に放出させることにより、人間の精神に多幸感、他者との共有感などの変化をもたらすとされる。MDMAを経口的に摂取すると30分から1時間ほどで前述のような精神変容が起こり、それが4~6時間程度持続するとされる。
MDMAを摂取すると、体温をコントロールする機能の喪失による高体温や不整脈などによって重篤な症状を引き起こす場合がある。特に暖かい換気の悪い室内、激しい運動を伴う場合、また大量の発汗を伴い水分補給が十分でない場合などに使用すると合併症を生じやすいとされる。低ナトリウム血症、急性腎不全、横紋筋融解症などで死亡することもある。また、摂取後に重度の不安(不安障害)、妄想、気分の障害、記憶障害、睡眠障害、衝動性の亢進、注意集中の困難などが長期間続くことがある。
乱用と医療用途
MDMAは1985年まで主にアメリカにおいて心的外傷後ストレス障害 (PTSD) の治療に用いられてきた。PTSDは患者が自身に起きたトラウマ体験を自己の記憶として受容できないことによる疾患だとされているが、MDMAを摂取した状態でカウンセリングを行うことにより、通常の精神状態では許容しがたいトラウマ体験を想起させ、自己に起きた事実であることを受け入れることによって疾患が軽減もしくは治癒するという理論に基づいたものである。
しかしMDMAはレクリエーション・ドラッグ (Recreational Drug) としての側面も持ち、濫用が社会問題化したことを受け米国司法省麻薬取締局はMDMAを規制物質法におけるスケジュールI、すなわち濫用性が高く医療用途の見込みのない違法薬物に指定した。現在ではほとんどの国でMDMAは違法薬物とされている。以降MDMAはレクリエーション・ドラッグとして違法に濫用され続け今日に至るが、依然としてPTSDへの有用性を主張する声も根強く、2001年にはアメリカ食品医薬品局 (FDA) が、2004年にはDEAがPTSD患者へのMDMAの治験を認める措置が取られることとなり、2008年にはフェイズII治験が終了。続いてイスラエル、スイス、カナダでも臨床試験が行われる。しかし依然としてMDMAが濫用性の高い薬物であることには変わりなく、安全性や依存性の検証、濫用防止などクリアしなければならない問題点は多い。
錠剤型麻薬
「エクスタシー」は本来MDMAを指す隠語である。しかしMDMAは錠剤の形を取って流通する場合が多いため、単に(MDMAを含むと期待される)錠剤型麻薬を総じてエクスタシーと呼ぶことも多い。錠剤型麻薬としては他にも「X」、「E」、「アダム」など多数の俗称を持ち、また日本では、丸い錠剤が多いことから「玉(たま)」、また「X」から転じて「バツ」、「ペケ」の俗称をも持つ。
一般に錠剤型麻薬は違法に製造されるため、MDMA以外の薬物である可能性、また他の成分が混入されている可能性、有害な不純物が残留している可能性などが非常に高く、MDMAの効用を高めるために意図的に他の薬物を混入することも少なくない。したがって単体としてのMDMAの安全性と錠剤型麻薬の安全性は別個のものとして考えなければならない。錠剤型麻薬の押収量が増加し、世界中で深刻な社会問題となっている。
歴史
- 1912年、ドイツの化学メーカー、メルク社が、食欲抑制剤として初めて合成し、製法特許を取得した(製品化はされなかった)。
- 1967年、アメリカ軍による機密扱いが解けたことから化学文献への記載が始まり、1970年代から1980年代初頭までは精神科医の間で、PTSDの治療などに頻用された。
- 1978年、ダウ・ケミカル社の化学者だったアレクサンダー・シュルギン (Alexander Shulgin) らによる著作『幻覚剤の薬学』が出版され、レクリエーション・ドラッグとして爆発的な拡大が始まった。
- 1985年6月、米国司法省麻薬取締局 (DEA) がエクスタシーを非合法とした。現在ではコカイン、ヘロイン、大麻と同様に、アメリカで広く用いられる麻薬の一つとされる。
そのダンス音楽との親近性により、1980年代後半からイギリスなどを中心に起こったセカンド・サマー・オブ・ラブブームやレイブの代名詞として普及する。欧州では近年では価格の低下により若年層への普及が懸念されている。
日本国での規制
日本では、麻薬及び向精神薬取締法によって規制されている。
- MDMAの輸入、輸出、製造は 1年以上10年以下の懲役。譲受け、譲渡し、所持は7年以下の懲役。施用(経口摂取など、身体に用いること)は7年以下の懲役となる(最近では、2009年8月に起きた元俳優の押尾学被告の事件が有名)。
- 錠剤型麻薬が覚せい剤(アンフェタミンなど)を含んでいた場合、覚せい剤取締法により、譲受け、譲渡し、所持、使用は10年以下の懲役となる。
合成麻薬MDMAは記憶系統の混乱を発生させる要因を作り出す。その効果副作用として神経細胞の破壊及び永続的な(数ヶ月~数年とも言われている)後遺症をもたらす。特に混合成分(合成麻薬と言われる由縁)の内、覚醒剤や亜覚醒剤と併用された場合に複雑な精神面・身体面において副作用を生み、神経ニューロンを破壊されると人間は一時的に記憶を伝達する能力が失われ、前述の様な多様な記憶障害を引き起こす。その要因となる解明されない成分やイギリスで行われたレイブパーティー等では死亡者が続出した事から運動を行う直前及び多量の摂取を強要した場合には使用・所持・譲渡等、最悪の場合には(使用者死亡の場合)殺人罪及び殺人未遂に問われるケースがある
