人権

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人権(じんけん)とは権利。通常は基本権や基本的人権(fundamental human rights) と同義のものとしてとらえられる。ただし、基本権という場合とは違い、他人から与えられたのではなく生来的に有するものであるというニュアンスで語られることが日本では多い。

目次

概要

ホッブズの最初に唱えた社会契約説によれば、聖書に記述されている楽園(原始社会)においても(自然に)存在した権利である生命権と自由権が自然権とされる。このような平和な無国家状態も人口の拡大とともに紛争が必然となる。この混乱を避けるために、個人は国家主権(国王)に対して自然権を完全に放棄し、絶対王政の国家を確立すべきであると主張された。これに反発したロックの社会契約説によれば、個人は人権を守るために人権を国家に委託するのであって、国家が人権を侵害する正当性は、それに属する個人の人権や私権を保護するために存在するとされた。よって、人権を不必要に侵害する暴政に対して人民は革命の権利を有すると主張された。ちなみに、ロックは原始社会にも個人所有が存在したと主張し、財産権を生命権と自由権に次ぐ自然権とした。これが、彼が経済自由主義の始祖とされる理由である。ホッブズが最初に提起した自然権と社会契約説がその後の欧米政治思想の基本となったため、人権は現時点での法哲学の論争の淵源であるといえる。

人権の観念の成立後も国家によって人権が侵害されたことは歴史的事実であるが、国家による人権の侵害がどの程度において許容されるかはいまだ解決されていない論争である。多くの人権侵害、場合によっては大量虐殺が国家の維持あるいは全国民の名のもとに行われたのは事実である。日本国憲法においては人権の維持に不断の努力を要するとする。しかし、人権は法律上「生来」のものとされているが、「絶対」のものとはされていない。ロックなどの自由主義が最初に主張されたときから、権利を守るための権利の侵害は正当化されており、ロックやミルあるいはカントなどの代表的な自由主義者・人権論者が、死刑あるいは戦争を条件付で肯定した理由がそれである。日本国憲法においても人権侵害は公共の福祉の元に正当化されており、この場合の境界は司法の判断に任されている。

かつては、人権の根拠は自然法つまり神(宗教的権威性)に求められていた。しかし、世俗主義の民主主義国家において、特に、日本においては、人権そのものが、根拠・命題と自然法論で主張される(トートロジー)。これが日本においては個人の尊厳に求められる。日本国憲法第13条の「個人の尊厳」はこの意味に解される。この場合、人権の観念は憲法も含めた法律の上に位置付けられるという法学者が多い。一方で、法実証論においては、人権の根拠は単純に法律(ほとんどの国では憲法)にあるとされる。

また、自然法および社会契約説は虚構であるとして、人権概念を否定し、公民権概念をもってこれにおきかえる主張もある。

世界人権宣言

1948年12月10日国際連合世界人権宣言を採択して宣言した。これは国際社会における人権の基本原則である。 外務省の「世界人権宣言」(仮訳文)より

国際人権規約

詳細は「国際人権規約」を参照

1966年12月16日に、前項の世界人権宣言を強化するため、国際連合は国際人権規約を採択した。批准国に対し、「勧告」を発する形で強制ができる。

日本における人権

日本においては、人権は日本国憲法の柱の一つであり、「国民の権利」として保障している。

人権に関する法律の整備の基本的な部分は、主に内閣府法務省が担当しており、法務省の人権擁護局がその中心となっているほか、必要に応じて担当する省庁が法律を整備している。

「濫用してはならず、常に公共の福祉のためにこれを利用する責任を負ふ」と規定している。(日本国憲法第12条
特別な法律関係における人権
法人・公務員・在監者・国立大学学生・皇族に対しては一部の人権が制限されるとの見解もあった(特別権力関係論)。
外国人の人権
原則として、日本国憲法の人権規定は外国人に対しても適用される。ただし、参政権、公務就任権、社会権、入国の自由などに対しては制限があると考えられている。
外国人の人権に制限を認めた判例として、マクリーン事件森川キャサリーン事件などがある。
皇族の人権
皇族に参政権は認められない。では、その他の自由権平等権社会権請求権は認められるか。これを肯定する説と否定する説がある。なお、判例によると、天皇民事裁判権に服さないとする。なお、皇族は上記の特別な法律関係における人権に該当するとの考えもある(天皇制廃止論を参照)。
直接適用(効力)説
憲法に定める人権の効力は公私の別を問わず該当するから、私人に対しても憲法の適用を直接できるという説。
間接適用(効力)説
憲法が直接適用されるのは一部の例外を除いて公権力と私人の関係であるが、私法上の解釈において憲法の人権保障の趣旨を汲むことにより私人間における人権保障を図ろうとする説。通説であり、判例もこの立場と解されてきた。
私人間効力・第三者効力ともいう。
問題となった事件として、三菱樹脂事件昭和女子大事件などがある。
具体例として、民間企業の男女別定年制は日本国憲法第14条違反ではなく、b:民法第90条違反として無効であるとされた(日産自動車事件)。
無適用(効力)説
憲法が直接適用されるのは一部の例外を除いて公権力と私人の関係であり,憲法の人権規定は私人間の関係に全く効力を及ぼさないとする説。もっとも、近時の見解は、私法もまた憲法と共通の価値秩序を前提とするはずであるから、私法の解釈においてもその価値は考慮されるはずであるとする。判例はこのような立場であるとも解することが可能である。

基本的人権

基本的人権(きほんてきじんけん)とは、人間が、一人の人間として人生をおくり、他者とのかかわりをとりむすぶにあたって、決して犯してはならないとされる人権のことである。すべての人間が生まれながらにして持つ。

基本的人権は、生命財産名誉の尊重といったような個別的具体的な権利の保障へと展開することが多い。このため、体系化されているさまざまな権利を総称して「基本的人権」ということもある。

日本国憲法での基本的人権

日本国憲法は、国民主権(主権在民)、平和主義とならび、基本的人権の尊重を三大原則としている。

主な基本的人権

(以下は基本的人権を守るための権利)

註:ここにある人権は単一のカテゴリに入れる事は不適当であり、自由権の中でも社会権的なもの、またその逆もある。また時代によって人権の意味が変わってくるため、その権利を固定的な意味で捉えるのは適当ではない(人権の相対性)。

最高法規

  • 基本的人権の本質(第97条

新しい人権

日本国憲法第13条幸福追求権から認められるとされる。

人権侵害

公権力による人権侵害

冤罪刑務所拘置所などの職員による被収容者への虐待、劣悪な収容環境など。公権力による人権侵害は裁判所も公権力を構成するだけに公正な判決を期し難い場合もある。このため、欧州評議会加盟国では欧州人権裁判所を設置して市民が加盟国政府に対する訴訟を提起できる制度をとっているが、日本では最高裁判所を超越する国際的司法機関への提訴の道は開かれていない。

外部から隔離された刑務所などの刑事施設の処遇をみればその国の人権意識のレヴェルがわかるといわれている[1]

日本においては、国際人権規約の下で設置された国連人権委員会において代用監獄の問題を指摘された。人権委員会は1998年の第4回日本政府報告の審査において代用監獄の廃止を勧告している。

マスメディアによる人権侵害

  • 無罪を推定されている被疑者に対する犯人視報道(報道機関による私的断罪 - メディア・パニッシュメントと呼ばれる)
  • 実名報道など罪のない一般市民に対するプライバシー侵害
  • 事件・事故が起きた地域での行き過ぎた取材による被害者ならびに近隣住民の生活の破壊(集団的加熱取材

企業の人権侵害

病院・施設の人権侵害

  • 入院患者・入所者に対する虐待(身体の束縛監禁暴力など)
  • 事務長による事務職員へのいじめ(罵声・暴言など)
  • 施設出身を理由にいかなる雇用形態でも雇用しない経済界暗黙の了解(就職差別)
    • これは、身寄りがない場合、保護者成年後見人が不在であると、いざ問題が起こったときに、責任の所在に困るリスクを敬遠する経営者・責任者の心理から来る差別である。

地域社会における人権侵害

脚注

  1. ^ 荒井彰 「僕の学校は監獄だった!」『実録!ムショの本…パクられた私たちの刑務所体験』 宝島社別冊宝島〉(原著1992-08-24)、初版、p. 66。ISBN 9784796691611。2009-11-27閲覧。

関連項目

 


外部リンク

arz:حقوق انسان

人権


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