タマネギ

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タマネギAPG植物分類体系
タマネギ
分類
:植物界 Plantae
:被子植物門 Magnoliophyta
:単子葉植物綱 Liliopsida
:クサスギカズラ目 Asparagales
:ネギ科 Alliaceae
:ネギ属 Allium
:タマネギ A. cepa
学名
Allium cepa L.
和名
タマネギ(玉葱)
英名
Onion

タマネギ(玉葱、学名:Allium cepa)は、ユリ科(クロンキスト体系ではユリ科)の多年草。(APG植物分類体系ではネギ科に分類される。)

園芸上では一年草もしくは二年草として扱われる。鱗茎野菜として利用される。学名 cepa はラテン語で「タマネギ」の意味だが、さらに「頭」を意味するケルト語に由来するとも言われる。日本でも、戦前は「葱頭」が正式な和名であった。

目次

食用

主に鱗葉を食用とするが、強い辛味・香味がある。生のタマネギはイチゴ位の甘みを持っているが、辛さの方が強いため辛く感じるのである。これはタマネギが光合成産物をでんぷんではなく糖の形で貯蔵するためである。そのため、通常の植物の鱗茎に含まれるでんぷんはタマネギの鱗茎には検出されない。辛みは、品種によって早生の方が辛みが少なく、晩生になるにつれ辛みが強くなる傾向にある。辛味は加熱するとなくなり、甘みが出る。因みに一般的に食べられているタマネギは『イエローオニオン(Yellow onion)』とも呼ばれる。

多様の料理に使われる。例えばカレーグラタン肉じゃがなどの煮込み料理に用いるほか、デミグラスソーストマトソース類、タルタルソースサルサ類など、各種洋風ソース類の素材として欠かせない。ネギと同様に鍋料理味噌汁の具としても用いられる。新たまと呼ばれる極早生のタマネギは、生で薄切りにしてもおいしく食べられる。

タマネギを切ると涙が出るのは、タマネギにアリルプロピオンが含まれているからである。タマネギを切った時に硫黄化合物(硫化アリル)が気化し、目・鼻の粘膜を刺激し涙が出る。これを防ぐにはゴーグル等で目を覆ったり鼻をつまむ。換気扇を回した状態でコンロの火を着け、そのすぐ横で調理すると刺激成分が上昇気流に乗って換気扇から排出される(料理人が平気なのはこのため)。また、水につけながら切ると硫化アリルが水に溶けて気化しなくなる。あらかじめ冷蔵庫で数時間冷やしておくのも良い。反対に、電子レンジで加熱することでも硫化アリルの効果を弱められる。ただし、これらの方法でアリルプロピオンの効果を弱めた場合、多少味が落ちてしまう。

ヒトが食べても無害であるが、 ウサギイヌネコなどの殆どの動物が食べた場合、成分に含まれる硫黄化合物が中毒を引き起こし、血液中の赤血球が破壊され死亡することがある。ペットにはタマネギを含む食品を摂取させない様、注意が必要である。(→タマネギ中毒

植物的特徴

花

染色体数は2n=16。生育適温は20℃前後で、寒さには強く氷点下の低温下でも凍害は殆ど見られないが、25℃以上の高温では生育障害が起こる。花芽分化は品種や系統によって大きく違うが、一定の成長期に10℃前後またはそれ以下の低温下に一定期間さらされると花芽分化する。結球には日長条件が大きく関与し、短日・中日・長日それぞれに品種系統で分化している。大まかに、日本で栽培されているものは、春まきが14時間以上の長日条件下、秋まきの早生種で12時間程度の中日条件下で結球する。長日条件・温度上昇で肥大が促進される。苗の時に大きいものは分球や裂球をしやすく、小さいまま低温に遭うと花芽分化しやすい。玉が成熟すると葉が倒伏し、数ヶ月の休眠に入る。

栽培の歴史

原産は中央アジアとされるが、野生種は発見されていない。栽培の歴史は古く、紀元前エジプト王朝時代には、ニンニク等と共に労働者に配給されていた。ヨーロッパ地中海沿岸に伝わったタマネギは、東ヨーロッパバルカン半島諸国やルーマニア)では辛味の強い辛タマネギ群、南ヨーロッパイタリアフランススペイン)では辛味の少ない甘タマネギ群が作られた。これらの両系統は16世紀にアメリカに伝えられ、さまざまな品種が作られた。

その一方、原産地から東のアジアには伝わらなかった。日本では江戸時代に長崎に伝わったが、観賞用にとどまった。食用としては、1871年(明治4年)に札幌で試験栽培されたのが最初とされ、1878年(明治11年)、札幌農学校教官のブルックスにより本格的な栽培が始まった。その後の1880年(明治13年)に、札幌の中村磯吉が農家として初めて栽培を行った。

品種の系統としては、アメリカから導入された春まき栽培用の「イエロー・グローブ・ダンバース」という品種が「札幌黄」という品種に、秋まき栽培用は1885年(明治18年)、大阪に「イエロー・ダンバース」という品種が導入され「泉州黄」に、フランス系の「ブラン・アチーフ・ド・パリ」が「愛知白」に名を変えて、それぞれ地域に定着化した。さらに農家農協単位で自家採種・選抜を行い、農家や地域ごとに特徴のある品種が作られた。

現在では、大手種苗会社によるF1品種が殆どを占めている。特に、七宝による一連の品種は乾腐病に対する抵抗性を持ち、長期貯蔵性などにも優れ、平成16年度民間部門農林水産研究開発功績者表彰の農林水産大臣賞を受賞した。

栽培体系

大きく分けて春まき栽培と秋まき栽培がある。

春まき栽培

タマネギ畑(富良野市)
タマネギ畑(富良野市)
  • 主な産地は北海道で、栽培は以下のように行われる。
  • 2月末から3月にビニールハウス内で播種し、育苗する。
  • 4月下旬から5月にかけて畑に定植する。現在は、「みのる式」と呼ばれる成型苗を自動移植機で定植するのが一般的である。
  • 定植後1ヶ月ほどは苗の活着に要する。
  • 6月から7月中旬にかけては葉の生育が盛んな時期で、その後7月下旬から鱗茎の肥大が始まる。鱗茎の肥大期以降はボトリティス菌、軟腐病菌、ネギアザミウマによる被害を受けやすいため、定期的に農薬による防除を行う。
  • 7月から8月にかけ地上部が倒伏する。倒伏が順調に進まない場合には、人為的に地上部を倒伏させることもある。
  • 倒伏がそろった後、収穫の前には株を土から引き抜く作業を行う。これは「根切り」と呼ばれ、着色を促したり貯蔵性を高める効果がある。
  • 収穫直前には枯死した葉を切り落とす。収穫後、コンテナに入れ、乾燥させる。

秋まき栽培

  • 主な産地は西日本で、栽培は以下のように行われる。
  • 9月に播種し、育苗する。
  • 10月下旬から11月にかけて畑に定植。極早生から早生にかけては、マルチ栽培やトンネル被覆を行うところもある。
  • 倒伏は3月から5月にかけて。極早生は、倒伏後まだ青いうちに収穫する。
  • 中生・晩生になると、葉をつけたまま専用の小屋で吊し貯蔵する。

重要病害虫

  • 乾腐病 病原菌:Fusarium oxysporum f. sp. cepae
  • 軟腐病 病原菌:Erwinia carotovora subsp. carotovora
  • ボトリティス菌による葉枯れ(白斑葉枯病):Botrytis squamosaB. cinerea、ほか
  • ボトリティス貯蔵腐敗:Botrytis alliiB. byssoidea、ほか
  • ネギアザミウマ Thrips tabaci
  • タマネギバエ Delia antiqua
  • タネバエ Delia platura

日本における生産と流通

日本では生産量108万3000t、作付面積は23,000ha(以上、統計値は平成17年、農林水産省統計による)である。そのうち北海道が生産量約58万t、作付面積11,100haと、全国生産量の約5割を占める。北海道に次いで佐賀県兵庫県(主に淡路島)、愛知県長崎県香川県静岡県栃木県大阪府、が主な産地である。北海道は春まき栽培、西日本では秋まき栽培が行われるため、季節ごとに産地の異なるものが小売されている。

また、近年、特に加工用では中国やアメリカからの輸入品も多く使われている(輸入量約38万t)。国産品はそれに対抗するために、価格面の対策としては生産・流通コストの低減化、端境期対策としてはマルチング・トンネル栽培による極早生の早期化や貯蔵技術の向上、極早生品種・高貯蔵性品種の開発、品質面の対策としては高機能性品種の開発を行っている。

その他

  • 玉葱の名産地、北海道の北見市(収穫量は全国の約25%)では、街を挙げて玉葱を大量に使用した食品や料理(北見ラーメン・玉葱ジャム・オホーツク北見塩やきそばなど)の考案、試作に努めている。
  • 栄養的に優れ、多産で、常温で保存可能であり、どんな国の料理にも利用できる(日本食も例外ではない)ことから、軍隊での利用が世界各地への普及に大きく貢献した。
  • 作家椎名誠キャンプに最適の野菜と評している。その理由としては味がよいこと、常温で保存する事が可能であること、水で洗う必要がないこと(キャンプの場所によっては水の確保が困難である)などを挙げている。椎名は「タマネギ教」という宗教があったら宣教師になってもいいといっているらしい[要出典]

関連項目

ウィキメディア・コモンズ

脚注

  1. ^ 獣医師広報板 タマネギ中毒

外部リンク

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