アサルトライフル

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アサルトライフルとは、単発射撃、連発射撃の切り替えができ、短機関銃と従来の小銃の中間の威力の弾薬を着脱式弾倉から給弾する小型、軽量な歩兵用自動小銃を指す総称である。代表的なアサルトライフルにはAK-47M16等がある。現代では各国で歩兵の主力火器として使用されている。自衛隊では、89式5.56mm小銃がアサルトライフルにあたる。日本語では突撃銃と訳されるか、単に自動小銃と呼ばれる。


目次


概要

連射と単射を切り替え可能な歩兵用の自動小銃としては、かつてフェドロフM1916Ribeyrolle 1918 automatic carbine等が存在したが、現代的な意味でのアサルトライフルは第二次世界大戦中のドイツで開発されたStG44に端を発する。StG44とはSturmgewehr 44(44年式突撃銃の意)の略称で、アサルトライフルはこの“Sturm(突撃)gewehr(小銃)”の英語訳である。

第二次大戦後のソビエト連邦では1949年、StG44と同様の設計思想で製作されたAK-47が制式化された。AK-47はベトナム戦争では北ベトナム軍に使用され、交戦したアメリカ軍ではAK-47をアサルトライフルと呼称し、1970年発行の“Small Arms Identification and Operation Guide - Eurasian Communist Countries”(小火器識別および操作ガイド - ユーラシアの共産主義国)において下記のように解説している [1]

  • アサルトライフルは、短機関銃と小銃の間の威力の弾薬を発射する、短く小型で単射と連射の切り替え射撃が可能な銃器である。
  • アサルトライフルは軽い反動を持つ特徴があり、このため効果的な連発射撃を300mまでの射程で行う能力がある。

またアメリカ陸軍でも、この概念に合うM16A1を1967年に歩兵用主力小銃として制式化していた。

AK-47、M16の制式名はそれぞれ、、:Автомат Калашникова образца 1947 года(カラシニコフ自動小銃1947年型)、Rifle, Caliber 5.56 mm, M16(16型5.56mm口径小銃)となっており、ソビエト、アメリカ両国ともアサルトライフルの意味の名称は用いなかったが、ベトナム戦争以降、AK-47とM16は代表的なアサルトライフルとして認識されていった。 [2]

その後各国の歩兵用主力小銃として、当時の東側陣営ではAK-47とその発展型が採用され、西側陣営では主にM16の使用弾に合わせ5.56mm×45弾を使用した自動小銃が採用されていった。現在、主要各国では5.56mm×45弾、5.45×39mm弾7.62×39mm弾等を使用した自動小銃が歩兵用の主力火器として採用され、アサルトライフルとして認識されている。

アサルトライフルを定義する具体的な数値は決まっていないが、前記3種の弾薬に近い威力の小銃弾を使用し、おおむね全長1m以下、重量4kg以下程度の自動小銃がアサルトライフルと総称されている。 [3]

機能

StG44を構えるドイツ兵バルジの戦い:1944年
StG44を構えるドイツ兵
バルジの戦い1944年
アサルトライフルは世界的に普及している:2008年
アサルトライフルは世界的に普及している:2008年

アサルトライフルという概念の目標は、短機関銃が担っていた至近距離での掃射と小銃が担っていた中距離(300~400m)での狙撃能力の両立であり、これを実現するために有効射程500m程度の低反動な弾薬を用いる。 この概念が生まれた背景として、第二次世界大戦から歩兵の機械化が進んだことが挙げられる。これにより実際の交戦が300m以下の距離で行われる事が増えた為、長い有効射程を維持する必要がなくなり、代わりに半自動ないし全自動射撃の制圧射撃による弾幕の形成が重要視される事となった。

セミ/フルオートの切替射撃機能(近年では3点バースト機能を有する製品も多い)を持ち、ガス圧作動方式等の自動装填機構を有している。

また、反動制御を容易とする目的から、軽機関銃と同様の“直銃床”スタイル(銃身軸線の延長上に銃床が位置する)が一般的であり、その保持を容易とするためのピストルグリップも重要な要素となっているほか、反動制御の容易なブルパップ型でデザインされた製品も多い。

近年の製品では、金属製の基幹部品(銃身や機関部など)に、環境の変化に強い繊維強化プラスチックの大型構成部品(ストックやハンドガード等)が組み合わせられたものが多く、鋼板プレス加工や繊維強化プラスチックによる一体成型など生産性に優れた手法で製造され、単価が安い点もアサルトライフルの特徴となっている。

軽機関銃とアサルトライフルの違い
アサルトライフルと軽機関銃には以下のような差異があるとされる。
  • 軽機関銃はフルオート射撃で長時間持続して射撃するのが前提の火器であるのに対し、アサルトライフルは状況に応じてセミオート・フルオートを使い分けて使用する火器である。
  • 現代の軽機関銃は銃身交換が容易なデザインであり、戦闘中に交換しながら射撃を持続する事が前提となっているが、アサルトライフルは銃身の交換を想定していないため容易には交換できない。
  • 現代の軽機関銃はベルトリンク給弾機構を有し100~200発の装弾数であることが多いが、コンパクト・軽量である事が必須のアサルトライフルには20~30発入りのボックスマガジンが使われている。

弾薬

最も普及した中間弾薬である7.62x39(M43)
最も普及した中間弾薬である7.62x39(M43)

米陸軍による定義によれば、現代のアサルトライフル用弾薬として広く使われている中間弾薬Intermediate Ammunition)とは、「小銃弾とサブマシンガン用弾薬の中間にあたるパワーを有する弾」 (“a cartridge intermediate in power between submachinegun and rifle cartridges.”)と定義されている。

スペインのCETME小銃と日本の64式小銃には、7.62mm NATO弾サイズの減装弾が採用されているが、これも反動制御を容易にする中間弾薬と同じ発想で作られた弾薬である

[4] [5]

名称

M16とAKの比較
M16AKの比較

アサルトライフルという言葉が広く用いられるようになったのは、ベトナム戦争中の米軍においてである。北ベトナム軍とベトコンが用いる小型で強力なAK-47を指す呼称として、"Assault Rifle"(アサルトライフル)という言葉が用いられるようになった。

この概念は西側諸国で採用された小口径高速弾を用いる小型の自動小銃を指す呼称として一般化した。 [6]

Sturmgewehr

Sturmgewehr(StG)とは、第二次世界大戦にて開発された“StG44”を、新たな特徴を備えた銃器であると示す為にアドルフ・ヒトラー自らが考案した名称である。 Sturmgewehrアサルトライフルは訳語たるつながりからしばしば同一視されるが、1970年頃の米軍が改めて定義した「カテゴリー名称」であるアサルトライフルとは若干異なる概念である。 尚、StG44を開発したドイツ国防軍ではSturmgewehrについて、以前から存在していたMaschinenkarabiner(MKb)と同等のものと認識しており、後継として採用された"MKb Gerät 06H"のように、国防軍内では終戦までMKbの呼称を用いていた。

また、戦後の西ドイツでは、政治的な理由 [7] からSturmgewehrというカテゴリー名称を継承せず、同種の火器を“Schnellfeuergewehr”(自動歩兵銃)と呼称している。 現在でもオーストリアスイスでは国内向けの製品名として“Sturmgewehr”(StG)を用いている。

突撃銃

日本における突撃銃という呼称は、“けん銃” “小銃” “機関銃” “機関けん銃”といった公的に用いられている呼称とは異なり、民間の研究者の間で用いられていた通称である。

“突撃銃”という言葉が使用され始めたのは、1960年代に米軍がベトナム戦争への介入を始め、これと戦うベトコンなど各派武装勢力が用いたAK-47が新種の火器として注目を集め、これを指す“Assault Rifle”という言葉が、メディアを経由して日本に伝えられてから以降の事である。

日本語の突撃銃という言葉を輸入した韓国(突撃小銃)や中国語圏(突撃歩槍)では現在でも用いられているが、日本では“アサルトライフル”というカナ表記や”自動小銃”という表現が多く用いられている。


製品分類

現在までに登場したアサルトライフルは、以下の3系統に大別される。

  1. AK(機関騎銃)やG3[8](機関騎銃)など“機関騎銃”の系統
  2. M16FN CALなど“自動小銃”を縮小した製品の系統
  3. “アサルトライフル”として設計された“AR-18”から派生した系統

また、これら各系統の発展型としてブルパップ型が存在している。

機関騎銃系統

詳細は「機関騎銃」を参照

機関騎銃(MKb)とは、アサルトライフルの先駆的存在であり、19世紀末のイタリアで試作され、20世紀初頭のロシアで“機関騎銃”として実用化された。 アサルトライフルと同様に機関騎銃を用いる自動火器であり、第一次大戦下のフランスでは米国製の狩猟用カービンから派生した“機関騎銃” が使用された。

第二次大戦では“M1/M2 Carbine”が米軍によって大規模に使用され、同様にナチス・ドイツが使用した“機関騎銃”とともにソ連の機関騎銃開発と運用スタイルの確立に強い影響を与えた。

戦後のソ連で採用された“AK(カラシニコフ機関騎銃)”は、“MKb42”の強化型機関拳銃(サブマシンガン)としての性格を強く継承した製品であり、ベトナム戦争で使用された事で米国が自動小銃系のアサルトライフルであるM16を採用するなど、その出現は世界に直接的な変化をもたらし、西側諸国における“アサルトライフル”の概念を成立させた。

大戦末期のナチス・ドイツで“MKb42”の後継として開発されていた“機関騎銃”は、強化型機関拳銃としての性格が強い製品でありながら、低コスト化を図って採用されたローラー遅延式の効果で従来の自動小銃より命中精度が向上していた。

これに注目したフランス・スイス・スペインなどの各国は“MKb Gerät 06H”を基にした機関騎銃・自動小銃を開発し、これらの成果が西ドイツG3シリーズとして完成され、軽機関銃・自動小銃・アサルトライフル・機関拳銃など幅広いカテゴリーの製品を生み出した。

このほかに、大戦中にソ連における機関騎銃開発の過程で製造され、後にソ連が中国向け援助兵器として送り出した“SKS(シモノフ自動装填騎銃)”が、中国で独自に発展したアサルトライフルも存在している。


自動小銃系統

第二次大戦後、フランス・英国・ベルギー(FN社)・西ドイツといった諸国では、米独の用いた機関騎銃に刺激されて、従来の自動小銃に使用されていたフルサイズ小銃弾よりフルオート射撃の制御が容易な機関騎銃が開発された。

しかし、超大国となった米国はこうした動きに追従せず、フルサイズ小銃弾である7.62mm NATO弾(3,500J, 実包重量 24g)を用い、従来型の自動小銃であるM1ガーランドブローニングM1918自動小銃(BAR)のフルオート射撃機能を併せた自動小銃としてM14を採用した。

このため、米国の軍事力に依存するNATO加盟諸国では独自の中間弾薬開発が見送られ、NATO非加盟ながら親米国だったスペインと日本においてのみフルサイズ小銃弾を減装とした弾薬が採用されたに留まった[5]

同時期に、欧州では機関騎銃のデザインから影響を受けた中間弾薬を使用する自動小銃の開発も進んでいたが、これらは7.62mm NATO弾用に設計変更された自動小銃として発達し、FN FALがその代表的な存在として知られるほか、日本においては64式小銃が採用された[8]

AR10/M16
米軍採用当時のM16
米軍採用当時のM16

ベトナム戦争で従来型自動小銃とフルサイズ小銃弾の限界に直面した米国は、新種の機関騎銃である小口径高速弾と、軽量・小型なM16AR-10のスケールダウン型)を採用した。

米軍におけるM16への認識は、M14と同様にフルオート射撃機能を付与した自動小銃であって、AKのような“強化型SMG”とは対極に位置する性格の火器であり、信頼性よりも良好な命中精度を優先させた結果、デザイン的に問題のあるM16のリュングマン方式(参照)が半世紀近くに渡って米軍に使用され続ける結果となった。

M16は度重なる改修を受けつつ、リュングマン方式に起因する特有の問題を根本的に改善する事無く運用が続けられて来たが、ベトナム戦争に参戦した韓国・台湾では早くから改良型が試作され、K2小銃65式歩槍といった製品が生まれたほか、近年になって米軍の依頼を受けたH&K社により大幅に改修されたモデルが登場し、ようやく作動不良問題と決別したHK416が生まれている。

FN FAL/CAL

優秀な自動小銃として世界的な成功を収めたFN FALだったが、各国の関心が小口径高速弾へ移行すると徐々に陳腐化していった。

FN社は顧客離れを食い止めるため、AR-10/M16の関係と同様にFN FALをスケールダウンしたFN CALを発表した。 FN CALは3連バースト射撃機能を追加した最初期のモデルとなったほかは、FN FALから何も進歩していない凡庸な製品だったため、商業的には成功しなかった。 [9]


AR18派生系統

米軍におけるM16小口径高速弾の採用はNATO諸国においても強い関心を呼んだが、M16の作動不良にまつわる情報も同時に伝えられていたため、M16の姉妹製品であり、より機関騎銃に近い形態と信頼性の高い短ガス・ピストン方式や折り畳み式銃床、低コストな鋼板プレス製のレシーバ(機関部)を持つAR-18のデザインが注目を集めた。

1960年代末から各国でAR-18を参考とした製品の開発が急速に進み、日本においても豊和工業がAR-18をライセンス生産し、これから発展した89式小銃が採用されたほか、同様にAR-18が生産された英国ではL85(SA80)へ発展し、H&K社が次世代アサルトライフルとして開発したG36FX-05FN社のFN SCARなどへ発展している。

この他に、イタリア・スイスのアサルトライフル共同開発計画の産物として生まれたベレッタ AR70/90SIG SG550FN FNCなどは、AR-18の短ガス・ピストン方式をフィードバックして改良した長ガス・ピストン方式を採用し、信頼性と命中精度を両立させている。

これらのアサルトライフルは、従来の自動小銃より機関騎銃に近いデザイン・形態だったため、これを新しいカテゴリーとして捉える“Assault Rifle”(アサルトライフル)という言葉とともに広く普及し、既に存在していたStG44AKなどの機関騎銃や、その影響を受けたH&K G3シリーズやAR-10などの自動小銃を含む概念として、世界的に用いられる言葉となった。


ブルパップ型

スターリングL2A3(SMG)とAUGのサイズ比較
スターリングL2A3SMG
AUGのサイズ比較

ブルパップ方式とは、ピストルグリップや引き鉄といった操作部分をマガジンより前方へ配置したデザインであり、アサルトライフルの全長をSMG並みにコンパクトにしながら、バレル(銃身)を長くできると同時に、より銃口に近い部分にグリップが位置するため反動を抑え込むのが容易という利点がある。

特に、市街戦森林戦などでは全長が短い火器が有利であり、索敵時に取られるポイント&シュート(銃身をやや下に向け銃床を肩に当てて保持し、敵を発見した瞬間に銃口を視線の先に合わせて持ち上げ、顎下で銃の動きを止める事で、素早く敵に照準を合わせて射撃を行う)の姿勢を保つのに適している。

“Enfield Model-2小銃”
Enfield Model-2小銃”

初期のブルパップ方式は第二次大戦後のソ連・英国で試作されており、1951年に英軍が採用した“Enfield Model-2(EM-2)”は、同時に開発された機関騎銃である7x43(.280 British弾)とともに、当時最も先進的な自動小銃だった。 しかし、米国がNATO諸国の共通弾薬として強く採用を求めた7.62mm NATO弾への弾種変更に失敗したため、EM-2小銃は退役を余儀なくされた。

その後、アサルトライフルの開発が進んだ1970年代から、各国・各社でブルパップ方式が見直され、実際に軍で採用される製品が出現した。

この当時、ブルパップ方式はアサルトライフルに最も適した構造と考えられていたため、SAR-21シンガポール)、IMI タボールAR21イスラエル)、QBZ-95/97中国)、Valmet M82フィンランド)、Khaybar KH2002イラン)といった多くの製品が製造・採用されるようになった。

液晶モニタ付きSAR-21
液晶モニタ付きSAR-21

ブルパップ方式では射手の利き手に合わせて廃莢口の左右切り替えが必要となり、廃莢口が射手の顔面の横に位置するため、廃莢口の向きを決めてしまってから逆の手で発射すると、頬を熱い空薬莢が直撃する危険性がある [10] この欠点を解決するため、FN社では自社ブルパップ式火器の廃莢方向を真下(FN P90)または前方(FN F2000)としている。

また、ブルパップ式は通常の小銃に比べて照準線長が短くなるため、その精度を補うための固定低倍率スコープ(光学照準器)を標準装備している製品もある。 しかし、スコープは近接戦闘時のポイントに不向きなため、近年の改良型では固定スコープではなく、ピカティニー・レールによって各種照準器類の選択装着が可能となっているほか、市街戦用のモニタ付き照準器などをセールスポイントとした製品も登場している。

近年の動向

小口径高速弾

ベトナム戦争中にM16用弾薬として採用された小口径高速弾は5.56mm NATO弾(1,800J, 実包重量 11.2g)へ発展し、兵士が携行できる弾薬の量は劇的に増加し、同時に銃本体の小型・軽量化も進み、各国で広く採用される標準的な弾薬となった。

詳細は「5.56mm NATO弾」を参照

現在、5.56mm NATO弾以外の独自小口径高速弾薬を採用しているのはロシア(5.45x39mm弾)と中国(5.8mm×42弾)の二国であり、両国とも5.56mm NATO弾と同程度のサイズ・重量の弾薬を採用しているが、ボディアーマーを貫通できる能力を重視している点でも共通している。

5.45mm×39弾

ソ連では米国の小口径高速弾採用に刺激された研究が1970年代に始まり、独自の小口径高速弾である5.45mm×39弾(1,390J, 実包重量 10.5g)とAK-74を採用し、AN-94イズマッシュ社製の各種アサルトライフルでも同弾が採用されている。 [11]

当初、5.45mm×39弾は7.62mm×39弾や5.56mm NATO弾に比べて装薬が少なく、エネルギーは半分程度しかないため殺傷能力が劣ると見られていたが、弾頭の形状や材質を工夫した事で7.62mm×39弾よりも高い殺傷力を有している事がアフガン侵攻で判明し、当時FN社で開発中だったM855/SS109の弾頭はこれを参考に完成されている。 [12]

5.8mm×42弾

1980年代に開発された中国の5.8mm×42弾(初速930m/s、弾頭重量4.26g、1,842J、実包重量不明)について、5.56mm NATO弾や5.45mm×39弾よりも高性能で殺傷能力が高く、有効射程は800mまで延長されており、600m程度まで良好な弾道特性を保ち、1,000mで3mmの鋼板を貫通する能力があると中国側は主張している [13]

中口径高速弾

様々なメリットをもたらした小口径高速弾だが、5.56mm NATO弾には一貫して中距離での殺傷力の低さが問題視される傾向があり、戦時には必ず威力不足を指摘する兵士達の不満が表明されてきた。 この傾向はアフガン侵攻で再度強まり、全体のサイズはそのままに、弾頭の重量を倍にした6.8mm×43SPC弾が試作され、米軍でテスト運用されている。

しかし、重弾頭を用いれば兵士が携行する弾薬の重量増加にもつながるため、小柄な体格のマイノリティ出身兵士が多い近年の米軍では運用上不利となりかねないという問題が存在し、大量の5.56mm NATO弾ストックを維持している同盟国との調整など様々な問題をはらんでいる。

同弾の採否について今以って結論は出されていないが、米軍が5.56mm NATO弾と6.8mm×43SPC弾を同一プラットフォームから使用できるアサルトライフルの試作を各メーカに要求するようになったため、近年の製品では多くが6.8mm×43SPC弾が使用できるバリエーションを有している。

7.62mm NATO弾の復活

歩兵の機械化が進み交戦距離が短縮し続けた第一次大戦以降の戦訓に基づき、歩兵用小銃の射程距離は短縮の一途を辿り、ベトナム戦争における小口径高速弾の採用で頂点に達した。

しかし、現代軍同士の交戦やジャングル戦では近距離化していたはずの交戦距離の概念が、近年のアフガン侵攻イラク戦争といった山岳部・砂漠地帯での対テロ戦争非対称戦争)では、現地で流通している.303弾のような旧式弾薬を用いる火器の長大な有効射程と殺傷力の前にあやふやとなりつつある。

また、自軍兵士の犠牲を減らす事が政治的に重要な要素となった事もあって、近年では交戦前に敵を遠距離から攻撃する試みが増えている。

小火器におけるその試みのひとつが、弾頭重量を増加させ中距離以遠での精度と殺傷力を向上させた中口径高速弾の試用と、フルサイズ小銃弾の復活であり、近代化改修を受けたM14 DMRや、AR-10を継承したSR-25HK417といった、7.62mm NATO弾を使用する命中精度の高い自動小銃が、簡易狙撃銃として使用されるようになっている[8]

ケースレス弾薬

G11用ケースレス弾薬
G11用ケースレス弾薬

西ドイツでは、1970年代から4.73mmケースレス弾薬(金属薬莢がなく火薬が固形化されている)と、その弾薬を用いた新しいアサルトライフルであるH&K G11が開発されていた。

H&K G11と4.73mmケースレス弾薬は、Steyr ACRとともに、米軍のAdvanced Combat Rifleプログラムに参加したが、現用のM16に対して低い評価しか得られず、その後の東西ドイツ再統一による財政負荷軽減のため、ドイツ本国での採用もキャンセルされ、量産に移ることはなかった。

フレシット弾薬

飛行中のフレシット弾とサボットの離脱
飛行中のフレシット弾とサボットの離脱

既存銃器のライフル銃身と弾薬の限界を突破する試みとして、現代の戦車砲に用いられるAPFSDS弾頭と同形態の弾頭を用いた小火器が、1970年代のステアー社で考案された。

この案の試作品に用いられたのが、フレシット弾薬と呼ばれる特殊な弾薬であり、鋼製の釘状弾頭をプラスチックのサボットで覆った弾体を、ライフリングの無い銃身から射出する事で、従来の高速弾を遥かに超える1,500m/sの弾速を持つ“Steyr ACR”と呼ばれる新種の銃器を開発した。

Steyr ACRは固定銃身と上下に移動する遊動チャンバー(薬室)を持ち、下方に下りた状態の薬室に弾倉からフレシット弾薬が供給され、引き鉄を絞ると薬室が上方へ持ち上がり、撃発位置に来ると固定撃針により着火するというオープンボルトSMGのような撃発機構を持ち、発射後に下方へ下りた薬室内の空薬莢(プラスチック)は、次弾の装填によって排莢されて真下に落ちる、という構造になっていた。

H&K G11とともに米軍のAdvanced Combat Rifleプログラムに参加し、良好な成績を収めたが、発射後に離脱するサボットが高速で四散し、射手の周囲の兵士に被害を与える可能性が危惧され、それ以上の実用化は進められずに終わった。

H&K G36/XM8システム

採用をキャンセルされたH&K G11の代替として、1990年代の終わりにドイツスペインが共同開発したH&K G36ドイツ連邦軍に採用された。

同銃はスコープを内蔵しており、機関部全体が金属で補強されたプラスチック素材で製造されるなど、素材や製法の面では従来の製品より進化していたが、使用弾薬は5.56mm NATO弾を用い、自動装填機構には短ガス・ピストン方式を用いるなど、既存技術を組み合わせただけの製品だったが、これを基にXM8システムが開発された。

XM8システムはコンポーネントとして構成された各パーツを組み合わせる事で、SAW・ライフル・機関騎銃・SMGに相当する4種の火器を自在に構成でき、内蔵式レーザーサイトや残弾数カウンタといった電子装備を導入していた。

H&K社の提案を受けて、米軍によるXM8システムの採用テストが行われ、優秀な成績を残したが、採用の可否についての結論は出ないままキャンセル状態となっている。

FN SCAR

FN SCAR H(Heavy)(7.62mm NATO弾用)
FN SCAR H(Heavy)
7.62mm NATO弾用)

更新対象だった7.62mm NATO弾が一転して重要な存在となった米軍では、5.56mm NATO弾6.8mm×43SPC弾(7.62x39弾相当)、7.62mm NATO弾(.303弾相当)の3種の弾薬に、最小限の部品交換で対応できる共通のプラットフォームを持った次世代アサルトライフルを求めるようになった。

弾薬のサイズが近似した5.56mm NATO弾と6.8mm×43SPC弾の共通化は多くのメーカで達成できたものの、大きくサイズが異なり、発射時の衝撃も大きな7.62mm NATO弾との共通化は既存のアサルトライフルでは困難であり、7.62mm NATO弾用には別サイズのプラットフォームで対応したM16をベースとするHK416/417と、独自設計のFN SCAR L/Hが提出された。

1950年代に設計されたAR-10の発展型であるHK416/417よりも、先進的な設計のFN SCARがテストでわずかに優秀な成績を収め、2009年4月に米陸軍第75レンジャー連隊が最初に納入された600挺を受領し、実戦でのテスト段階へ移行している。

擲弾兵の時代

小銃の有効射程や殺傷力を強化しても、近年の一般歩兵が分隊支援火器 (SAW) の護衛役以上の役割を果たせていない現実と、戦闘ヘリと遠隔操縦の武装無人機によるミサイル攻撃が地上攻撃力の要となり、索敵・殲滅用の軍事用ロボットが実戦投入されつつある変化を受けて、歩兵の打撃力は相対的に低下し続けている。

また、近年のボディアーマーの進化は中距離で飛来した強力な小銃弾をも停止させる能力を示しており、実際に被弾した米軍兵士の多くはボディアーマーのおかげで死を免れている者が多く、敵兵も同じ装備を有していれば、歩兵の打撃力だけでは戦闘の決着は付かなくなってしまう。

こうした変化の下で、ベトナム戦争から急速に発達したグレネードランチャーの打撃力を核とし、Mk19 自動擲弾銃, AGS-17, H&K GMG, XM307といったオートマチック・グレネードランチャーを従来の機関銃に代えて配備し、グレネードランチャーとアサルトライフルを一体化させた複合火器を歩兵装備の核とする“擲弾兵”化構想が進みつつある [14]

グレネードランチャーとアサルトライフルを一体化させた複合火器の研究は、M14採用前後の米国で“SPIW計画”として始まり、M16M203のコンビがベトナム戦争で有効な兵器として活用された経緯があり、これに倣ったソ連/ロシアもAKシリーズAN-94に装着できるGP-25/30を採用している。

近年では、ATK社H&K社が共同開発した“XM29 OICW”および“XM25システム”など一体型のシステム製品が注目を集めた事から各社の競作が始まり、FN社の“FN F2000”システムをはじめ、“AICW”(豪)、“PAPOP”(仏)、“Daewoo K11”(韓国)といった製品の開発が進められている。


主なアサルトライフル

ブルパップ型の製品

脚注

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関連項目

外部リンク


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