エレクトーン

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エレクトーン (Electone) は、ヤマハが販売する、電子オルガンの名称である。「エレクトーン」はヤマハが保有する登録商標(登録番号0529966など)であり、他社の河合楽器製作所ドリマトーンローランドミュージックアトリエという名称で電子オルガンを販売している。上鍵盤、下鍵盤、ペダル鍵盤、またエクスプレッション(表現)ペダルを備えており、最近のものは数百種類の音色からそれぞれの鍵盤に音色を割り当てられるようになっている。その開発のアイデアの原点は、パイプオルガン、シアターオルガンに由来している。電子オルガンは、コンボタイプ、チャーチモデルなど演奏される音楽や用途によって分類されているが、エレクトーンは、オールマイティな用途に対応するホームオルガンというタイプの電子オルガンに該当する。初級者向けの小型のものから、コンサート用の大型のものまで数多くの種類があり、近年では、可搬性に優れた組立分解式のモデルも販売されている。

目次

概要

初期の電子オルガンは、ハモンドオルガンが機械的にトーンを発生させていたのに対し、トランジスタを使用した純電子式のトーン・ジェネレータを採用した。しかし当時の電子発信機ではパイプ・オルガンのように、いくつもの音を合成して多彩な音を出すことはコストとスペースの関係で無理があった。そこで電子オルガンメーカーは、初めから倍音を多く含んだ波形の音を発生させ、フィルターで音色を変化させるという手法を採用せざるを得なかった。しかし、他社の製品との違いを打ち出すには独特の音色で印象付ける必要があり、さまざまな波形が試みられた。発生が容易な矩形波は奇数次の倍音しか含まなかったり、のこぎり波は特徴ある音にならなかったり、音響エンジニアの腕の見せ所であった。ヤマハのエレクトーンは奇数次の倍音しか含まないという矩形波の欠点を補うため、非対称矩形波を採用した。

歴史

初代機種「D-1」が1959年に登場。以降80年代初期まではトーンレバー式のアナログ機種であったが、1983年より登場したFSシリーズよりFM音源を採用、エフェクトも全てデジタル方式に変更された。さらに1987年のHSシリーズではFM音源のエディットが可能となった他、リズム音源のみAWM音源を採用(HS-8についてはAWMボイスを数種類選択可能)。1991年のEL-90以降はAWM音源とFM音源のハイブリッド方式となり(EL-900、EL-900m、ELX-1mではVA音源も追加)、AWM音源がメインとなる。

現行のメイン機種である「エレクトーン・ステージア」(2004年発売)では分解・組み立て可能なユニット構造を採用し、必要に応じて機能のバージョンアップが可能となった。また、これまでの機種では対応メディアはフロッピーディスクのみだったのに対し、スマートメディアUSBインターネット接続が可能になり、YAMAHAのサイトからレジストレーションを直接購入することが可能になった。但し従来のEL100番台シリーズとの互換性は小さく、フロッピーディスクの再生も簡易的なものである。また、互換性や音源制作方法の違いから、ノウハウが詰まっているELシリーズに比べ歴史が浅いこともあり、現場ではまだまだEL依存が続いている。記録メディアにスマートメディアを採用したことも仇となり、スマートメディアの実質的な撤退後は各種音源データ付きの楽譜の出版数も激減している。よって各種大会でも未だにELシリーズが主役のことが多い。

鍵盤については基本的に2段鍵盤+ペダル鍵盤で、ステージモデルは上鍵盤61鍵+下鍵盤61鍵+ペダル鍵盤25鍵(初期のものでは上鍵盤のさらに上にソロ鍵盤も装備)。家庭向けの上位機種は上鍵盤61鍵+下鍵盤61鍵+ペダル鍵盤25鍵、それ以下の機種では上鍵盤・下鍵盤ともに44~49鍵でペダル鍵盤は13鍵というのが標準であったが、家庭向けではHSシリーズ以降(HCシリーズを除く)上鍵盤・下鍵盤ともに49鍵、ペダル鍵盤は20鍵に統一されている。 1983年よりタッチコントロールも装備され、その後は鍵盤をさらに押し込んで音質を変えるアフタータッチだけではなく、鍵盤を押し込んだまま左右に動かしてピッチに変化をつけるホリゾンタルタッチ(EL-900以降)も装備された。現在主流の「エレクトーン・ステージア」では上記に加えてアフタータッチでもピッチを変化させることができるようになった。

歴代機種

現在はSTAGEAシリーズが販売されてから5年が経ち、ELシリーズからSTAGEAへの移行もだいぶ進んできた。またヤマハグレード試験(5〜3級)でも、2010年5月からは一部会場でSTAGEA(ELS-01C)のみとなる事が発表された。

現行機種

STAGEA mini
STAGEA mini
ELS-01 スタンダードモデル
VA音源・オルガンフルートは未搭載。ペダルボイスはアフタータッチ使用不能。カスタムモデル・プロフェッショナルモデルにアップグレード可能。
分解・組立が可能で、必要に応じてユニット交換によりグレードアップが可能。
6.5インチTFTカラー液晶&タッチパネルで簡単操作。インターネットダイレクトコネクション機能を搭載している。
ELS-01C カスタムモデル
ELS-01の上位機種。VA音源・オルガンフルート・ホリゾンタルタッチを搭載。2004年発売。
プロフェッショナルモデルにアップグレード可能。
鍵盤のみ、ペダル鍵盤のみのアップグレードも可能
ELS-01X プロフェッショナルモデル
2005年発売。従来のHX-1、ELX-1系といったステージモデルの流れを汲む。スピーカは別売り。ペダル鍵盤の背面にキャノンとフォーンを配置。
Electone STAGEAプロフェッショナルモデル。
上・下鍵盤各61鍵、ペダル鍵盤25鍵を装備。ステージでのPA出力を想定し、本体用スピーカーユニットは別売。
ELB-01(K) (STAGEA mini)
2006年発売。グレードアップ不可能。いわゆるエントリーモデル。音楽教室用は末尾にKが付く。

発売当初のSTAGEAシリーズは外部記憶装置としてスマートメディアを採用していた。しかし、スマートメディアの生産をしている東芝が2005年3月7日に一部を除きスマートメディアの生産・供給から撤退することを発表したため、STEGEAシリーズの後期生産型ではスマートメディアスロットが廃止され、代わりにUSBメモリの着脱を容易にするためのアダプターが取り付けられた。後期生産型の製品名には「type U」がつくが、外部記憶装置以外の基本的な仕様は前期生産型と共通である。なお、STEGEA miniは発売当初からスマートメディアではなくUSBメモリを採用している。

D-DECK

D-DECKは、ヤマハのデュアルマニュアルキーボード(2段の鍵盤を搭載しているキーボード)の商品名である。STAGEAからペダル鍵盤をとったようなものであり、エレクトーンとの互換性がある。

DDK-7 (D-DECK)
2006年発売。ペダル鍵盤は別売り。音色ボタンが大幅に省略され、ライブでの使用に特化した構成となっている。グレードアップ不可能だが、オルガンフルートを標準搭載している。他のエレクトーンに標準搭載のニーレバーがない(オプションペダルにアサインすることが可能)。

過去の機種

EL100番台

EL-900m
EL-900m
EL-900mでFDを挿入したときのディスプレイ表示
EL-900mでFDを挿入したときのディスプレイ表示
EL-900mでFD再生したときのディスプレイ表示
EL-900mでFD再生したときのディスプレイ表示
EL-900
1998年発売。新たにホリゾンタルタッチ・ネクストソング(FDに記憶されたレジストファイルの連続読み込み機能)が備わっている。EL-900mへのグレードアップキットがある。
EL-900B
2002年発売。900と比較して若干アンプ出力が落とされ、色は艶消しのクールブラックに変更された。EL-900mへのグレードアップキットがある。
EL-900m(mはミレニアムの意)
EL-900に様々な機能を追加して2000年発売。100番台の家庭向けでは最高機種。低音が強調される傾向がある。ヤマハグレード試験では現在でも当機種を選択可能。MIDI再生においてはGMXGの下位音源は正常に作動するがGSとは互換性が無い。
ELX-1m
EL-900mをベースにし、機能を追加したステージモデル。EL-900mと同じく2000年発売。
EL-700
1999年発売。900との違いはホリゾンタルタッチとリード2が搭載されていないこと。リード2とは上鍵盤でソロを担当する楽器を割り当てる場所であり、それがないことによりVA音源、ソロ機能(上鍵盤でリード2とその他の音をニーレバーで切り替える機能)も搭載されていない。
EL-500
1999年発売。700との違いはレジストリメモリーボタンが8(上位機種は16)のみで2ndエクスプレッションペダルが非搭載であること。特に後者はヤマハグレード5級以上を目指す場合注意が必要。また普段はペダル鍵盤のみイニシャル・アフター両タッチがともに使用不可能である。
EL-400
2000年発売で500より若干性能が落ちる程度。日本語表示(カタカナ)が可能。
EL-200
2000年発売のエントリーモデル。FD再生時のみ500と同等の機能を発揮する。普段はイニシャル・アフター両タッチ共に使用不可能。EL100番台では唯一スピーカーがモノラルである。さらに、液晶ディスプレイがない。
EL-100
2002年発売のエントリーモデル。アフタータッチが搭載されていない為、ヤマハグレード7級以上を目指す場合買い替えが必須となる。

EL10番台

EL-90
1991年発売。10番台の家庭用モデルでは最高機種。2ndエクスプレッションペダルが初搭載(100番台シリーズ以降の上位機種にも搭載される)
ELX-1
1992年発売。EL-90をベースにしたステージモデル。リードボイス2(AWM,FM音源)、音色の拡張なども行われた。

以降は公式リンクを参照されたい。

各世代の互換性の問題

各機種ごとの固有の機能を使用する場合、以下の要因から、別の機種では同じ音が出せないという問題が発生する。

  • ELシリーズはAWM音源+FM音源(+VA音源)だったのに対し、ステージアでは、AWM音源(+VA音源)でFM音源が備わっていない。そのため、ELシリーズで作成された音色データをステージアで使おうとすると、FM音源がない分違う音になる。特にELシリーズの機能で作成されたユーザーボイスは全てステージアのプリセット音色に置き換えられる。
  • ELシリーズ同士でもWAVEサンプリングに互換性が無いことがあり、機種によっては音質が異なることがある。

エレクトーン奏者

通称「エレクトーン・プレイヤー」。中には全国ネット番組のBGM制作を担当する者もいる。 大別すると、財団法人ヤマハ音楽振興会に所属しその傘下で活躍している者[1]ヤマハ株式会社の支援を受けている独立系のエレクトーン・プレイヤー[2]、メーカーの支援に依存せずに活動するフリーの電子オルガンプレイヤーがいる。ヤマハでは主に「ヤマハエレクトーンシティ渋谷」がプレイヤーへの支援業務を行っている。

ほかに、主に楽器店店頭などでエレクトーンの販売促進のための演奏と解説を行う「デモンストレーター」と呼ばれる者もいる。

ヤマハ音楽振興会所属のプレイヤー

  • 安藤禎央
  • 尾野カオル
  • 加曽利康之
  • 窪田宏
  • 冴咲賢一
  • 三原善隆
  • 森敏雄
  • 渡辺睦樹
  • FUNKY FOX
  • 岩内佐織
  • 柏木玲子
  • 小寺久美子
  • 高田和泉
  • 平部やよい
  • 廣田奈緒子
  • 松本玲子

独立系およびフリーのプレイヤー

  • 赤塚博美
  • 天野裕子
  • 内海源太
  • 海津幸子
  • 神田将
  • 久米詔子
  • 倉沢大樹
  • 下村真有美
  • セリアダンケルマン
  • 鷹野雅史
  • 富岡ヤスヤ
  • 中村幸代
  • 西岡奈津子
  • 西山淑子
  • 仁戸田江美子
  • 林アキラ
  • 平沼有梨
  • 松田昌
  • 松本淳一
  • 安井正規
  • 宮内康生
  • maru
  • mai

エレクトーン生活

  • 楽譜はヤマハの関連会社ヤマハ・ミュージック・メディアが独占的に提供。機関紙「月刊エレクトーン」にも最新のヒット曲が(数ヶ月遅れで)数曲掲載されてある。月刊エレクトーンの音源に関しては各種代理店に設置してある「Muma」を利用することで有料で入手可能。「エレクトーン・ステージア」に関しては前述のMumaの他に直接ダウンロードする手段も存在する。
  • 楽譜の表記はペダル鍵盤がある分3段用意されている。この他にもレジストリメモリーの移動タイミングの表記などの独自の仕様が数多く存在するため、ピアノ用の楽譜とは異なる知識が必要となる。
  • ELシリーズの曲集には音源データの入ったフロッピーディスクが同梱されていることが多いが、ステージアシリーズの曲集は基本的には楽譜のみで、前述の手段を利用することで1曲ごとに音源を購入するように改められている。
  • ヤマハ・ミュージック・メディア側が過去の曲集の音源データを所有していないため、データのバックアップは各自で対応する必要がある。(公式的にはコピーは不可能)
  • ヤマハ音楽教室の年度は5月開始。ヤマハ音楽教室に対して毎年発表会を実施することを義務付けられている。
  • ヤマハ音楽振興会が主催する音楽能力検定制度である「ヤマハグレード」がある。6級までは学習者向け、5級以上は指導者向け。6級までは各音楽教室で実施されているのに対し、5級以上はヤマハの管轄エリアごとの主要会場でのみの実施。

エレクトーンが登場する番組

関連項目

外部リンク


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