動画共有サービス

動画共有サービス(video hosting service)とは、音声付の動画インターネット無料で提供するサービスソーシャル・ネットワーキング・サービス (SNS) に分類される。通常ウェブサイトの形態をとり、動画投稿サイトなどともいうが、P2Pを利用したものなどもある。

目次

概要

2010年現在、人気・知名度ともに最も高い動画共有サイトは、アメリカYouTubeである。

動画をアップロードするには、そのウェブサイトのアカウント取得を要することが多い。無料でアップロードできるウェブサイトもある。

歴史

動画共有

動画を共有する手段は、動画共有サイトが登場する以前からあった。2000年代前半、ファイル共有ソフトが流行した。Napster(1999年)やWinny(2002年)などである。しかし利用者のパソコンにファイル共有ソフトの用意が必要で、著作権違反による逮捕やウィルス感染の心配があった。

2005年、動画共有サイトが次々と登場した。google video(1月)やDailymotion(2月)、YouTube(12月)などである。ブラウザ以外に特別なソフトウェアが不要で、ブログやSNSとの連携も容易だった。

2006年、ブームが始まった。日本でも[1]利用者は1年間で16倍に増え、1000万人を超えた[2]。この頃、Veoh(3月)やStage6(8月)、ニコニコ動画(12月)が登場した。googleがYouTubeを買収したのも、この年である(10月)。日本人利用者がYouTubeやStage6に押し寄せた[3][4]涼宮ハルヒの憂鬱が人気を博した[5]。海外から流入したトラフィック量(年2回測定)は2006年5月以降の1年間で1.7倍に急増した[6]、特に2006年11月以降の伸びが激しかった。一方、韓国では有名歌手のダンスの物真似などUser Created Contentがブームになった[7]

2007年、動画共有サイトの利用が拡大した。日本の利用者は1年で倍増し、約2400万人に達した[2]。政治経済など一般社会を巻き込んで様々な試みが行われるようになった。2008年アメリカ合衆国大統領選挙の選挙活動[8]に初期から使われた。UCCとしてオバマ・ガールの動画投稿があった。日本でもYouTubeのサービスが正式に始まった(6月)。外山恒一の政見放送が非公式に投稿された。初音ミクが登場し権利を獲得していった(詳細は初音ミク#初音ミクを巡る騒動を参照)。

2008年、動画共有サイトは世界的に普及した。優酷網の急速な成長が日本でも話題になった[9]。日本の利用者は約3200万人に達した[10]。高速な光回線が主流となった(6月)[11]。涼宮ハルヒの憂鬱や時をかける少女の口コミなど成功事例が出てきた為、Consumer Generated Mediaに対する著作権者の眼も和らいだ。角川やJASRACなどが前向きな対応をするようになった[5][12]

この年、YouTubeの視聴機能を持つ、iPhone 3Gが発売(6月)された。パソコンだけでなく、携帯電話やゲーム機などでもモバイル動画が可能になっていった。またこのような機器や通信回線など視聴環境が世界中に普及していった。

2009年、YouTubeの動画視聴回数は10億回/日を超え圧倒的な存在である。世界の動画共有のインフラとなっている[13]。通信料やコンテンツのライセンス料などで大赤字という説[14]と、自社回線で通信料はほぼゼロという説がある[15]

動画配信

インターネットテレビ」も参照

動画共有サイトの活況を受けて、動画配信サイトや動画共有サイトを使った動画配信の動きも活発化した。

2005年、GyaO!(4月)、第2日本テレビ(10月)、政府インターネットテレビ(12月)などの動画配信サイトが始まった。音楽配信のiTunes Store 日本版も始まった(8月)。基本的には有料指向だった。この年、通信と放送の融合を訴えて、ライブドア(2月)や楽天(10月)がラジオ・テレビ局の買収・提携を模索したが、上手くいかなかった。

2006年、アメリカ最大のテレビ局CBSがYouTubeで無料動画配信を始めた。テレビ番組の視聴率が向上した[16]。日本のテレビ局は既存のビジネスモデルを犯す物として、テレビ番組の無料動画配信には消極的だった[5]。一方、多チャンネル化が進んでいるアメリカのテレビ局は新たな配信先の確保を目指して、様々な試行錯誤を繰り返した。

2007年、日本でYouTubeのサービスが正式に始まった。企業や政党のチャンネルが作られ始めた[17][18]。イギリスでは、BBCの無料動画配信サイト・見逃し視聴サービスであるiPlayer(12月)が始まり、大成功を収めた[19]。日本ではテレビ局の電波利権を守るため遅々として進まないIP放送[20]が、ヨーロッパで普及し始めた。

2008年、企業や政党、官公庁[21]の利用が拡大した。アメリカでは、テレビ局や映画会社の無料動画配信サイトであるHulu(3月)が始まり、大成功を収めた[22]。一方、有料のNHKオンデマンド(12月)は不発だった[23]

2009年、日本のテレビ広告費は番組広告、スポット広告ともに落ち込んだ。2年連続の下落であり、2007年から約15%の落ち込みである[24][25]。既存のビジネスモデルが疑問視されるようになった。インターネット広告費は新聞広告費を越え、テレビ局の有料動画配信サイトの利用も多少は伸びている[26]が、インターネットへの進出に対しては、なかなか踏ん切りがつかないのが実情である。

2010年、日本のラジオ局13社はインターネットへの無料同時配信を決めた[27]。ラジオ広告費は2007年から約20%落ち込んでいた。

動画中継

動画共有サイトの活況は、インターネットを使った生中継の可能性も喚起した。

2007年、Ustream(3月)やJustin.tv(3月)、ニコニコ生放送(12月)が始まった。

2008年、韓国の米国産牛肉輸入反対デモは、ユーザーの生中継動画が動画共有された[7]

2009年、アメリカのオバマ大統領就任式の動画配信は、全世界で約2130万件を記録した[28]。日本では記者会見オープン化の動画配信が始まった。

代表的な動画共有サービス

日本

主な動画共有サービスと動画配信サービスの利用状況は以下の通り。日本では動画共有サービスが強く、動画配信サービスで上位に入るのはGyaO!のみである。

利用者数TOP3(2009年9月)[29]
順位名称人数
1YouTube2248万人
2GyaO!Yahoo! JAPAN1190万人
3ニコニコ動画801万人
利用者数5から10位(2009年3月)[26]
順位名称人数
5Veoh(2010年2月経営破たん)344万人
6Dailymotion257万人
7Woopie236万人
8google video220万人
9Pandora TV206万人
10AmebaVision180万人

娯楽系サイトのランキングでも、動画共有サイトの人気は高い。テレビ局はフジテレビを除いて11位から20位であり、上位には入らない。テレビ局の有料動画配信サイトは更にその下である。

利用者数TOP10(2009年2月)[30]
順位名称人数
1YouTube2170万人
2Sony Online1521万人
3iTunes Software(iTunes Storeなど)1211万人
4ニコニコ動画1125万人
5フジテレビジョン745万人
6Yahoo!エンターテイメント744万人
7Yahoo!ミュージック699万人
8オリコン687万人
9GyaO!(統合前)621万人
10Yahoo!映画475万人

アメリカ

アメリカではYouTubeが圧倒的に強い。しかしテレビ局や映画会社などのメディア・コングロマリットも積極的にインターネットに進出している。

閲覧者数TOP10(2009年12月)[31][32]
順位名称人数配信数
1GoogleYouTubeなど)1億3583万人132億4249万本
2Yahoo!5984万人5億3942万本
3FOXインタラクティブ・メディアMySpaceなど)5678万人5億5051万本
4CBSインタラクティブ4792万人2億9730万本
5マイクロソフト4458万人5億6105万本
6Hulu4419万人10億1349万本
7バイアコム・デジタル3959万人3億7264万本
8Facebook3275万人
9ターナー・ネットワーク3059万人3億6699万本
105min.com3053万人7540万本[33]

欧州

イギリスやフランスでもYouTubeが強い。しかしBBCやTF1などのテレビ局も頑張っている。

イギリスの閲覧者数TOP10(2009年1月)[34]
順位名称人数
1GoogleYouTubeなど)2366万人
2BBC(iPlayerなど)677万人
3マイクロソフト434万人
4Facebook358万人
5Yahoo!300万人
6Amazon.com295万人
7FOXインタラクティブ・メディアMySpaceなど)259万人
8AOL LLC220万人
9MEGAVIDEO219万人
10Metacafe194万人
  • Live Leak(イギリス)
  • Putfile(イギリス)
  • SeeSaw(イギリス)
フランスの閲覧者数TOP10(2008年9月)[35]
順位名称人数
1GoogleYouTubeなど)1456万人
2Dailymotion1067万人
3TF1グループ595万人
4マイクロソフト548万人
5Kewego241万人
6Orangeフランステレコムのブランド)234万人
7AlloCine213万人
8AOL LLC210万人
9MEGAVIDEO153万人
10Iliad/Free.fr140万人

アジア

世界で最もインターネット利用者が多いのは中国である[36]。2008年末で、2億人弱~3億人の利用者が居ると言われている。

中国の動画共有サイトは、土豆我楽優酷網などがリードしてきた。YouTubeは進出していない。2010年、中国政府は通信と放送の融合(三網合一)を2015年までに行うとの発表した。中国中央電視台などのネットテレビ局が開設され始めた[37]。また検索大手の百度は外資とジョイントベンチャーで、無料動画配信サイトの奇芸(Qiyi)を始める[38]

韓国

中国

その他

  • EngageMedia(オーストラリア)
  • KeyTalks(台湾)
  • MEGAVIDEO(香港)
  • RedTube(不明)

利用者

各種調査によると、日本では動画共有サービスは若者・中年(20代~40代)が音楽やUCCを見るために利用している。アニメも人気がある。一方、動画配信サービスは老人(50代~60代)が映画やテレビ番組を見るために利用している[39]

動画共有サービス利用者の6割以上は週1回以上利用している。しかし毎日利用するヘビーユーザーは1割程度で、半数は1回の利用時間が30分以下である[40]。10代は4人に1人がヘビーユーザーである[41]

日本では、アメリカと異なりニュース動画の人気はあまりない[42]

著作権

動画共有サイトは著作権侵害という意見がある。初期のYouTubeの人気はサタデー・ナイト・ライブの違法投稿によって火が付いたと言われている[43]

しかしYouTubeは初期から、個別の削除要請(Notice&Take down)に応じ[44]、ライセンス料[45]を支払うと共に、責任は投稿者にある。動画投稿サイトはオンラインサービスプロバイダであり、デジタルミレニアム著作権法のセーフハーバー条項で免責されると主張していた[46]。また投稿は違法ではなく、フェアユースで認められるという意見もあった。

これに対して、著作権者はVeoh(2006年)やYouTube(2007年)などに対して訴訟を起こした[47]。結果はVeohとYouTubeの勝訴だった[48][49]。一方、ユーザーも著作権者に対して、動画のフェアユースを求める訴訟を起こした[50]。ユーザーが勝訴する事例も出た[51]

日本では、著作権者が2006年から対策を求めるようになった[52][53]。2008年、YouTubeはJASRACに対して、著作権料を支払うことにした。

著作権法も動画共有サイトなどインターネット時代への対応を迫られた。著作権者からは規制を求められる一方、日本にはフェアユースやNotice&Take downの規定がなく、いきなり処罰されてしまう。革新的な企業の出現やデジタルコンテンツの流通を阻害しているという意見が出された[54]。またIP放送を放送ではなく自動公衆送信(通信)と扱う事で、地上波番組の放映や著作権処理を難しくしている[55][56]という意見もある。

2010年、改正著作権法が施行された[57]。ストリーミング配信に影響はないが、ダウンロードは違法化された[58]。また日本版フェアユースは先送りされた[59]

脚注

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関連項目

動画共有サービス


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