シフトレバーの配置
シフトレバーの配置(シフトレバーのはいち)では自動車の運転席においてシフトレバーが設けられている位置について記述する。
自動変速機(AT)や無段変速機(CVT)の場合はシフトレバーと呼ばず正しくはセレクター(あるいはセレクトレバー)と呼ばれるが、本項ではこれらセレクターの配置を含めて述べる。
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シフトレバー
シフトレバーとは、自動車のマニュアルトランスミッション(手動変速機)の歯車の組み合わせを選択するレバー(てこ棒)のこと。自動車を運転する際、適切な出力や速度を得るためには運転手が任意にトランスミッションの歯車の組み合わせを変える必要がありその操作に用いられるのがシフトレバーである。
配置区分
シフトレバーが取り付けられた部位に応じてフロア配置のフロアシフト、インパネ(インストゥルメントパネル:計器盤)配置のインパネシフト、ステアリングコラム配置のコラムシフトの3種に大別される。
フロアシフト
フロアシフトは現在最も一般的なタイプで、軽自動車から高級セダンまで幅広く使われている。
ほとんどの車種で車体中心線近くに配置されるがレーシングカーには競技規定に合わせ、右ハンドル・右シフトのものがある。
MTのシフトパターンは前後がシフト、左右がセレクトのH形がほとんどで一部に前後操作のみのシーケンシャルタイプ(ドグクラッチのシーケンシャルトランスミッションと通常のシンクロメッシュトランスミッションを使った擬似シーケンシャル)がある。
シーケンシャルシフトの場合、ノブを手前に引いた時にアップさせるのか、または反対にダウンさせるのかといった操作方向と変速動作の関係はメーカーやチームの方針、ドライバーの好みなどで異なる。ライト・カー・ロケット、メッサーシュミット・KR175(Messerschmitt KR175(英語))、メッサーシュミット・KR200(Messerschmitt KR200(英語))など、オートバイ用のトランスミッションを流用した場合は必然的にシーケンシャル操作となる。
ウニモグの場合はシフトレバーが副変速レバーを兼ねておりカメのマークの低速側、ウサギのマークの高速側、それぞれにトランスミッションの段数分のポジションがあり4速トランスミッションならばHパターンの4速×2となり前後進の切り替えは逆転機で行うため、前後進ともに全てのギアが使える。
フロントエンジン・リアドライブ方式のレイアウトではトランスミッションケース自体にシフトレバーを持つものが多いが、キャブオーバー車ではトランスミッションが運転席の後方となるためワイヤーやリンケージを介したリモートコントロール式になっている。フィンガーシフトを装備した大型車でのシフトレバーはトランスミッションのアクチュエーターを作動させる電気信号を送るスイッチとなっており、新車において機械的なリモートコントロールを行うものはほとんど無くなった。
ATはセレクターのグリップ部のボタンでロックを解除し前後に直線的に操作するものが大半でそのほかにはグリップ部にロックボタンが無くジグザグ形やU字・J字・L字形ゲートを持つもの、ティップシフトと呼ばれる擬似シーケンシャル操作のもの、レバー自体を横に傾けロックを解除して操作するものなどがある。ステアリングホイールから手を離さずにシフトチェンジが可能なパドルシフトやステアリングスイッチシフトも、フロアにセレクターを残しているものが多い。
MTフロアシフト | CVTフロアセレクター |
インパネシフト
シフトレバーがハンドルに近いところにあるのでシフトチェンジ時の操作性に優れ、さらにコラムシフトに比べギアポジションが判りやすく操作性もフロアシフト並みに良い利点がある。
トラクシオン・アバンや2CVなど、縦置きFFで名を馳せたシトロエンはインパネシフトを基本としていた。その後DSとIDはコラムシフトとなったが、空冷 水平対向エンジンのべーシックカーにインパネシフトを採用し続けた。トランスミッションがエンジンより前に位置し、リモートコントロール用ロッドの配置に制約があるルノー・4にも影響を与えた。
現在では、MT比率の高い欧州でピープルムーバー(MPV、ミニバン、ワンボックスカー)や商用車でのマニュアルシフトとウォークスルーを両立するレイアウトとして採用されており、一般的な乗用車にも使われるようになっている。
日本では欧州向けとレイアウトを共通化した車種から採用が始まり、キャブオーバータイプの商用車にも導入が進んでいる。7代目 ホンダ・シビックをはじめ現行型のトヨタ・ハイエースや三菱ふそう・キャンター、日産・NV200バネットなどではMTのシフトレバー、ATのセレクターともにインパネシフトとなっている。
MTインパネシフト | MTインパネシフト |
コラムシフト
コラムシフトはシフトノブがハンドルに近いところにあるため操作性に優れ、一方では足元を広く利用できる利点がありあわせて前席をベンチシートにすることにより前席左右の通りぬけが容易になる。逆にAT車において限られたスペースで多くのレンジを設定できないためギアの段数が多くなると採用できず、近年ではシーケンシャルシフトが多くの車種で設定されているため操作性が劣るといった欠点もある。
シンクロナイザーを持たない旧来のドグミッションではフロア式のダイレクトシフトは操作時の不快な衝撃が避けられず、商用車やスポーツカーではまだしも乗用車では敬遠されていた。そこで操作時の不快感を少しでも減らせるように、また前席の3人掛けが可能なようにビッグスリーがリモートコントロール式のコラムシフトやオートマッチックへこぞって移行し、その後多くのメーカーが追従したことで、一時、世界のスタンダードとなった。
コラムMTのシフトパターンは上下がシフト、前後がセレクトのH形がほとんどで競技車の一部に前後操作のみのシーケンシャルタイプがある。シーケンシャルシフトの場合、操作方向と変速動作の関係はメーカーやチームの方針、ドライバーの好みなどで異なる。
リモートコントロール式とも呼ばれるコラムMTのシフトレバーはトランスミッションのシフト&セレクトフォークとの間に多くのロッドとリンケージが介在し、摺動抵抗の多さから操作力はやや大きくロッドやクランクの剛性が不足している場合、ダイレクト感にも欠ける。
コラムシフトのMTはかつては乗用車から貨物車に至るまで幅広く採用されていたが次第にフロアシフトに取って代わられ、タクシーなどの前席3人掛けが必要な車種に残るのみとなっている。
通常、シフトアップ時は順手、シフトダウン時は逆手で操作する。Hパターンの3速MTでは車庫入れなど前後進を繰り返す場合、ニュートラルポジション手前側の一列を使うのみで素早い操作が可能となる。
コラムATセレクターはアメリカ製SUVやミニバンに採用例が多い。日本ではミニバンや商用車、軽自動車に普及したが近年はより操作性に優れるインパネセレクターへ移行が進んでいる。
操作はパーキングポジションからニュートラルポジションの間は逆手、以降ドライブから3 → 2 → 1(L)へは順手で操作する。逆方向(1 → 2 → 3 → D → N → R → P)へは逆手操作となる。
軽自動車を中心に多く採用されていたタイプであるが、2009年時点では少数派となっている。
その他についても状況は同様で日産・キューブ等の一部の車種にコラムシフトが残っているが、モデルチェンジの際にインパネシフトに切り替わる傾向となっている。例外的にトヨタ・パッソ等は、2010年2月にフルモデルチェンジした新型車でもコラムシフトを採用している。
トヨタ・タウンエース系、三菱・ミラージュディンゴ/ディオンにはコラムシフトながらフロアシフトと同じように進行方向に対し前後に操作する。折衷型と取れるシフトレバーを採用していた。
MTのシフトレバー、ATのセレクターともにコラムシフトの場合、車体中心側に配置される場合がほとんどであるが中には外側配置のものもあるマツダ・T1500/T2000、1970年代に生産されたホールデン・ステイツマンなど。クライスラー・クライスラー・ボイジャー、ロールス・ロイスの右ハンドル仕様車では外側配置のコラムATセレクターが採用されている。ロールス・ロイスに関しては、「後席乗員からシフト操作が見えにくくするため」という理由で伝統的に外側配置が採用されているという点で特記すべき事項である(ただし左ハンドル仕様になると通常の中央配置になり、その伝統は無実化される)。
また例外としてはシトロエン・DSのセミオートマチックトランスミッション(クラッチの動作のみならず、トランスミッションの切り替えにもハイドロニューマチックサスペンションの油圧を利用したもの)のシフトレバーがあり、やや内側(車体中心側)に曲げられたレバー形状を持つもののハンドルの位置にかかわり無くコラム上面に配置されている。ただしMT仕様車の場合は、車体中心側のコラム脇に配置されている。
MTコラムシフト |
関連項目
カテゴリ: 自動車トランスミッション技術 | 自動車部品
