離婚
関連キーワードで検索
関連キーワードで検索
離婚(りこん)とは、婚姻関係にある生存中の夫婦が、有効に成立した婚姻を、婚姻後に生じた事情を理由として将来に向かって解消することをいう。離婚制度は有効に成立した婚姻を事後的に解消するものである点で、婚姻成立の当初からその成立要件の点で疑義を生じている場合に問題となる婚姻の無効や婚姻の取消しとは区別される。
目次 |
離婚と法制度
離婚に関する法制度は国によって差が大きく、離婚を認めないカトリック教徒が大多数を占めるマルタやフィリピンでは離婚が法的に許されていない(その場合でも婚姻の無効は認められる)。これに対して、台湾(中華民国)の民法1049条では、無条件で協議離婚を認めている。
裁判上の離婚の法制度としては、配偶者の一方に夫婦間の共同生活関係の継続を困難にさせるような有責行為がある場合に限ってその有責配偶者の相手方からの離婚請求のみを認める有責主義と、夫婦間の共同生活関係が客観的に破綻している場合には離婚を認めるという破綻主義がある。
日本法における離婚
| この項目は特に記述がない限り、日本国内の法令について解説しています。また最新の法令改正を反映していない場合があります。ご自身が現実に遭遇した事件については法律関連の専門家にご相談ください。免責事項もお読みください。 |
日本では、民法(明治29年法律第89号)第763条から第771条に離婚に関する実体的規定を置いているが、その他、戸籍法(昭和22年法律第224号)、家事審判法(昭和22年法律第152号)、人事訴訟法(平成15年法律第109号)及びこれらの附属法規が離婚に関する手続規定を置いている。
離婚の形態
現行法は、離婚の形態として、協議離婚(協議上の離婚)、調停離婚、審判離婚、裁判離婚(裁判上の離婚)を規定している。
協議離婚
この制度は、日本が世界で初めて法律で認めた。日本では、離婚の大半が協議離婚である。
夫婦は、その協議で、離婚をすることができる(第763条)。ただし未成年者の子がある場合は親権者を決める必要がある(819条第1項)。夫婦双方の合意が必須となるため、夫婦の一方が勝手に離婚届を作成して提出すると文書偽造罪で罰せられ、離婚は無効となる。また、配偶者の親との間で養子縁組をしている場合は、養子離縁届を出さない限り、前配偶者とは義兄弟姉妹の関係が残り、前配偶者の親族の間で親族関係が続く。
協議離婚では、子供(孫)がいる場合、養育費については夫婦間で取り決めがなされない場合が多いが、離婚給付等契約公正証書を作成すれば債務名義となる。
調停離婚
家庭裁判所の調停において、夫婦間に離婚の合意が成立し、これを調書に記載したときは、離婚の判決と同一の効力(ここでは、いわゆる広義の執行力)を有する(家事審判法21条本文)。
離婚の訴えを提起しようとする者は、まず家庭裁判所に調停の申立てをしなければならない(同法18条、17条)。これを調停前置主義という。
審判離婚
調停が成立しない場合においても、家庭裁判所が相当と認めるときは、職権で離婚の審判をすることができ(家事審判法24条1項前段)、2週間以内に家庭裁判所に対する異議の申立てがなければ、その審判は、離婚の判決と同一の効力(「調停離婚」の項を参照)を有する(同法25条3項、1項)。
裁判離婚
協議離婚、調停離婚が成立せず、審判離婚が成されない時に、判決によって離婚すること。裁判離婚の成立は離婚総数の1%程度である。
- 条文
(裁判上の離婚)民法第770条
- 夫婦の一方は、以下の場合に限り、離婚の訴えを提起することができる。
- 裁判所は、前項第1号から第4号までに掲げる事由がある場合であっても、一切の事情を考慮して婚姻の継続を相当と認めるときは、離婚の請求を棄却することができる。
- 概要
離婚をした者の一方は、相手方に対して財産分与を請求することができる(771条、768条)。
離婚の訴えは、家庭裁判所の管轄に専属する(人事訴訟法4条1項、2条1号)。つまり、家庭裁判所に訴えを提起する必要があり、地方裁判所での審理を希望することは不可能である。
離婚の訴えに係る訴訟において、離婚をなす旨の和解が成立し、又は請求の認諾がなされ、これを調書に記載したときは、離婚の判決と同一の効力(「調停離婚」の項を参照)を有する(同法37条、民事訴訟法267条)。
- 裁判所の意識
根本では「現在ある人間関係を維持する」ことを意識している。同意のない離婚を事実上不可能にし、離婚の選択権を、離婚の原因(落ち度)の無い配偶者にゆだねている。これによって、配偶者が現在の人間関係を続けることを望めば、離婚できないようにしている[1]。
また、不貞・虐待・遺棄などについては有責行為を必要とする有責主義の考え方、当事者間に婚姻を継続しがたい理由がある場合には破綻主義の考え方により、離婚が認められるが、判例上、有責者が婚姻の破綻を理由に離婚請求した場合には、容易には離婚が認められない。
- 憲法の規定
日本国憲法第24条は、「婚姻は両性の合意のみに基づいて成立し」と述べている。そうならば、離婚は片方の意思があれば成立するように見える。しかし、そのような政策を採用している国は無い。片方の一時の感情で、離婚を簡単に成立させてしまうと、後で取り返しのつかない結果を招来し、全体としてうまく行かないからである。
離婚の効果
「離婚」に対する考え方
一昔前に比べると離婚に対して世間が寛容になったと言われているが[要出典]、内閣府の「男女共同参画社会に関する世論調査」によると、「相手に満足できないときは離婚すればよいか」との質問に対して、賛成派(「賛成」と「どちらかと言えば賛成」の合計)が46.5%にとどまったのに対して、反対派(「反対」「どちらかといえば反対」の合計)が47.5%となり、23年ぶりに反対派が賛成派を上回るという結果が出た[2] [3]。賛成派は1997年の54.2%をピークに毎回減り続けており、むしろ「一昔前に比べると、離婚に対して寛容ではなくなってきている」事が伺える。 その一方で、女性誌などでは女性の離婚をキャリアアップのひとつと捉える記事が採り上げられたり、キャリア志向の女性には、女性の離婚だけは勲章であると考える者もいる。[要出典]そのため、離婚に対する寛容さは、二極化しているとも考えられる。
いわゆる渉外離婚
以上のように日本では協議離婚の制度が認められているが、離婚するか否かを当事者の完全な意思に委ねる制度を採用する国は比較的少数であり、離婚そのものを認めない国、一定の別居期間を経ないと離婚が認められない国、行政機関や裁判所による関与を要求する国などがある。
このように国によって離婚の要件や手続(特に手続に国家が関与する方法・程度)が異なるため、ある国での離婚の効力が、別の国では認められないこともありうる。例えば、裁判による離婚制度しか存在しない国では、当事者の意思に基づく協議離婚はありえないから、日本で成立した協議離婚の効力が認められるとは限らないし、裁判所が関与する調停離婚についてもその効力が認められる保障がない。
このような事情があるため、裁判離婚しか認めていない国の国籍を有する者が日本で離婚する場合は、離婚の準拠法の問題もあり、当事者による離婚の合意ができている場合でも、前述の審判離婚や裁判離婚をする例が少なくない。
国際結婚の増加と共に、国際離婚も増加傾向にある。日本における届け出によれば、平成18年の離婚件数25万7475件のうち、夫妻の片方が外国人であったのは1万7102件(6.6%)であった[4][5]。
千葉法務大臣は、アメリカ合衆国などの要請を受けて[6]、ハーグ条約(1980年の国際的な子の奪取の民事面に関する条約)の批准を前向きに検討していると述べた。
家庭内離婚
実際には夫婦関係が失われているが、何らかの事情があるために同居を継続しつつも法的には離婚していない状態は、俗に家庭内離婚と呼ばれている。
熟年離婚
中高年の夫婦の離婚のこと。
2007年(平成19年)4月の年金制度の変更で、夫の厚生年金を離婚時に分割できるようになった(それまでは、離婚したら妻はもらえなかった)ときには、中高年夫婦が高い関心を寄せたという。実際には離婚件数は急増しなかったものの、相談件数は急増し、離婚を考えているものは多いという[7]。
離婚件数・率
「人口千人あたりの、一年間の離婚件数」(「人口千人あたりの、生涯のどこかで離婚する人数」とは異なる)のことを普通離婚率というが、これは人口の年齢構成の影響を強く受ける。これ以外の離婚率を特殊離婚率という。特殊離婚率には、例えば男女別年齢別有配偶離婚率や、結婚経過年数別離婚率などがある[8]。
マスコミなどで言われる「3組に1組が離婚」[9]などの表現は、全国のその年のみの離婚件数を全国のその年のみの新規婚姻件数で割った指標に基づくものであり、これは厚生労働省が定義する「離婚率」とは異なる[10]。 これは、近年大きな変動のない婚姻件数のうち、生涯のどこかで離婚する割合を暗示するデータとして用いられているが、今年離婚した者が結婚した年の婚姻件数が、今年の婚姻件数と一致するわけではないので、結婚した組のうち生涯のどこかでどのくらいが離婚したかを正確に表しているとは言えない。
日本では、普通離婚率は1883年(明治16年)には3.38であったが、大正・昭和期にかけて低下し、1935年には0.70となった。その後1950年前後(約1)および1984年(1.51)に二度の山を形成したが、1990年代から再び上昇し、2002年には2.30を記録した[11][12][8]。
日本では平成元年から平成15年にかけて離婚件数が増加し、その後減少している。厚生労働省「人口動態統計」によると、平成14年の離婚件数は約29万件、平成18年は約25万件となっている(離婚率でいえば、平成17年で人口1000人あたり2.08である)。平成14年を境に減少傾向となっており、離婚率が3.39であった明治時代に比べれば少ない[13](これは、明治時代の女性は処女性よりも労働力として評価されており、再婚についての違和感がほとんどなく、嫁の追い出し・逃げ出し離婚も多かったこと、離婚することを恥とも残念とも思わない人が多かったことが理由とされている[14])。現代の離婚の原因の主なものは「性格の不一致」である。また、熟年結婚が熟年夫婦による離婚の数値を押し上げている。
離婚の原因
司法統計によれば、離婚の申し立てにおいて、夫からの申し立て理由は「性格が合わない」、「異性関係」、「異常性格」の順で多い。また妻からの申し立て理由は、「性格が合わない」、「暴力をふるう」、「異性関係」の順で多い[15]。
アメリカでは、大学の公開講座や宗教団体などが、健全な家庭生活を維持・増進させるための活動をしているが、そうした団体の一つであるThe National Marriage Project は、離婚の原因は「家庭の運営に必要な知識を持っていないこと」であるとして、必要な情報を提供している[16]。また、Marriage Builders (ウィラード・ハーリ)は、「心からの合意の原則」など、考え方の食い違いを調整するための概念について解説している[17]。また、Smart Marriage では、離婚の原因は「意見の食い違いを調整する技術を持たないこと」であるとして、その技術を習得するための教育を行い成果を挙げている[18]。また、アメリカ合衆国政府は、米国厚生省の「健全な家庭生活への新しい方法」[19]や、「国立健全な結婚情報センター」の結婚教育[20]などにより、交渉の仕方やコミュニケーション能力や、対立の解決の仕方について情報提供を行っている。
離婚が子供に与える影響
かつて、離婚は子供に何の影響も与えないと考えられていた。アメリカの心理学者ジュディス・ウォーラースタインは、親が離婚した子供を長期に追跡調査して、子供達は大きな精神的な打撃を受けていることを見出した。子供達は、両方の親から見捨てられる不安を持ち、学業成績が悪く、成人してからの社会的地位も低く、自分の結婚も失敗に終わりやすいなどの影響があった。ウォーラースタインの結果について、多くの国で大規模な追跡調査が行われ、悪影響が実際に存在することが確認された[21][22][23]。
日本も批准した子どもの権利条約では、その対策として、(1)子供の処遇を決めるに際しては、年齢に応じて子供の意見を聞くこと、(2)別居が始まれば子殿も福祉に障害が生じない限り両親との接触を維持することを求めている。
離婚の悪影響を少なく抑えるための条件は、二人の親の間で争いが少なく、近くに住んで、再婚せず、二親とも育児に関わり、育児時間が50%ずつに近いことである[24][25][26]との主張が父権を主張するがわから指摘されている。実際には居住地を片親の要求で定期的に変えなければならないことを子供が嫌がるなど二世帯で子供を共有させることには無理があるのではないかとの主張もある。実際に上記の調査結果に対しても、子の育成の問題は離婚後の経済環境にあり、必ずしも父親との関係が薄れることではないとの調査結果も存在する。[27]
また各国で、子供から引き離された片親が片親引き離し症候群(PAS)にかかるとの報告も存在する。
結婚から得られる利益の喪失
人は、結婚から大きな利益を得る[28]が、離婚により、その利益は失われる[29]。学歴や職歴がおなじであれば、結婚している男性は、独身や離婚後の男性よりも、平均して、より多くの収入を得る。結婚している男性は、より健康で、精神的に安定し、より長生きする[30]。(例えば、40歳の時点で離婚している者は、結婚している者に比べて、男性で約10歳、女性で約5歳、寿命が短くなる[31])。結婚している女性は、独身、同棲中、離婚した女性と比較して、経済的に、より豊かになる。ストレスが少なく、幸福感がより強くなる。また両親が結婚している子供は、片親や、親が再婚後の子供と比較して、学業成績がより良好で、精神的なトラブルが少なく、成人してからの社会的地位がより高く、結婚生活もうまく行く。子供は両方の親から多くを学ぶのである。また結婚した家庭は、地域における人間関係の拠点になり、社会のネットワークに貢献する[32][33][34]。離婚により、こうした結婚の利点は失われる。
女性については、寡婦とそうでない女性を比べると、寡婦の方が貧困率が高いという[35]。
「結婚は勢いでできるが、離婚には体力が必要」という言葉がある。この言葉について、作家の佐藤優は「結婚は相互信頼を前提とするものであるが、離婚は相互不信を前提とするため」という分析している。
離婚によって収入を得ている職業・産業
離婚によって収入を得ている職業としては、弁護士(法曹)、探偵などがあげられる[36]。人によってはこのような職業・業務を「離婚関連産業」「離婚産業」などと呼んだりすることがあり、また、離婚関連のお金の動きを「市場」と見なし、「離婚関連市場」などと呼ぶ人もいる。[37][38] [39][40] [41]。
- オーストリアでは2007年10月、探偵、弁護士、カウンセラーらによって「離婚フェア」が開催された。こういった職業では離婚を「今ある関係の終わり」ではなく、「新たな始まり」などと表現し、人を離婚へと誘導することがある[42][43]。
- 子どもの権利は、日本では裁判規範とはされず、裁判所によって無視されており、国際機関から再三勧告を受けている[44]。
- 欧米の家族法は、離婚に際して、子供と両方の親との親子関係を維持することに主眼があるが[45][46][47]、日本の民法は、子供の奪い合いを招き、夫婦の対立を導いて、子供と片親との親子関係は、結局切れることが多い。
- 民法の権威であった我妻栄教授は、自分の子供の離婚を止めることができずに[48]、関係の政府委員を辞任した。
日本における旧民法の離婚
旧民法で、協議上の離婚は、婚姻の消滅を目的とした夫婦の契約であって夫婦は何時でも協議上の離婚をすることができる。ただし、満25年に達しない者は婚姻について同意をする権利を有する者の同意を得ること、および市町村長に届け出ることを要する。しかしこの要件を欠いた場合であっても、市町村長が届け出を受理すれば離婚は有効に成立つ。
裁判上の離婚は、法定の原因がある場合において、夫婦の一方が提起した離婚の訴えにもとづき裁判所のなした判決によって婚姻が消滅することである。その原因は、配偶者が重婚をしたこと、妻が姦通したこと、夫が姦淫罪によって処刑されたこと、配偶者が偽造、賄賂、猥褻、窃盗、強盗、詐欺取財、受寄財物費消、贓物に関する罪もしくは旧刑法第175条および第260条に掲げた罪によって軽罪以上の刑に処せられ、またはその他の罪によって重禁錮3年以上の刑に処せられたこと、配偶者から同居に堪えない虐待または重大な侮辱を受けたこと、配偶者から悪意に遺棄されたこと、配偶者の直系尊属から虐待または重大な侮辱を受けたこと、配偶者が自己の直系尊属に対して虐待をなし、または重大な侮辱を加えたこと、配偶者の生死が3年以上分明しないこと、壻養子縁組の場合に離縁があった、または養子が家女を婚姻をなした場合に離縁もしくは縁組の取消があったことの10である。 ここで虐待とは身体もしくは健康に対して有形的に惨酷な待遇をなすことで謀殺、創傷、殴打、暴行はいうまでもなく、食物を給しないことなどをもふくむとされた。侮辱とは言語、文字または動作で他人の名誉を毀損することであるとされ、判例では夫婦の一方がいちじるしくその義務に反して配偶者の名誉を毀損したことをも侮辱であるとした。この意味では配偶者が貞実の義務に反することも侮辱であるとされた。遺棄とは同居の義務を履行しないことをいうとされた。
離婚の効果は離婚の日以後に向って婚姻から生じた身分上および財産上の効力のうち婚姻の継続を前提とするいっさいの効力を消滅させることである。夫婦間に生まれた子の身分は婚姻の継続を前提とする効力でないから、離婚によって変更はきたさない。
脚注
離婚に関する作品
音楽
関連項目
離婚以外の婚姻の形態
離婚原因
離婚により発生する憲法上の問題
離婚と法律
世相
外部リンク
カテゴリ: 検証が求められている記事 | 出典を必要とする記事 | 法関連のスタブ項目 | 社会科学関連のスタブ項目 | 家庭 | 結婚 | 家族法

